感動を表現する推敲の仕方
石田郷子  いしだ


第45回 2010/02/16   


  原 句  まんさくの咲く池畔より暮れなづむ

 「まんさく」は早春の木の花。「先ず咲く」の意味だそうですが、漢字で書くと「金縷梅」。
 辞書をひくと「満作」「万作」と出ていますが、俳句ではたいてい「金縷梅」の表記をします。まさに金糸をまとったような花で、去年の古葉をつけたまま咲き始めるのが特徴。
 さて、この句は、詩情のある春らしい雰囲気ですが、なんとなく文章のようで、長すぎる気がします。よく見ると動詞が二つ。しかもそのうちの「暮れなづむ」は複合の動詞で、そもそもの意味は「暮れそうでなかなか暮れないでいる」ことですから、やや矛盾しています。
 花の場合は「咲く」を省略できます。また、作者の言いたかったことを想像するに、おそらくはこういうことなのではないでしょうか。

  添削例1  まんさくの池畔より暮れそめにけり

 もう少し省略してみます。

  添削例2  まんさくの水際より暮れそめにけり




 水平線

(c)kyouko ishida
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