「絆」―家族で楽しむファミリー句会 第1回 実施日 2008年1月1日 場所 自宅 |
初めまして、佐怒賀家です。我が家では、数年前から、旅先などでファミリー句会を開いています。たいした句会ではありませんが、こんな家族もいるのだなあと、お楽しみいただければ幸いです。定期的にお届けすることはできませんが、できるだけ機会を作り、また今までの句会の様子なども交えてお送り致しますので、よろしくお願い致します。 |
早速ですが、第1回ということで、元旦に新年句会を開きました。 当日は、午前11時頃に家族そろって埼玉県久喜市の自宅を出て、まずは群馬県邑楽郡板倉町にある雷電神社を参拝しました。ここは私たち夫婦が結婚式を挙げた神社で、以来毎年欠かさずに初詣をしています。その後、埼玉県上尾市に戻り、私たちの仲人でもいらっしゃる橘主宰・松本旭先生のお宅に年始のご挨拶に伺いました。お宅の中庭では恒例の記念写真を撮らせていただきました。 久喜市の自宅に戻り、夕食の後、午後8時、いよいよ新年ファミリー句会が始まりました。出句は3句以上出来ただけ。こんな句が出されました。 元日の浮雲利根の川幅に 臘梅(ろうばい)の匂へば神の鈴鳴らす 杜(もり)の径(みち)ふんはり山茶花(さざんか)は真白 元日の川越え鯰神(なまずがみ)詣づ 直美(通称:おとう) まづは猫におはやうと言ひ初御空(はつみそら) 我と猫の他は冬田のひろがりぬ 眠りをる家々の屋根初日受く やみくもに高きを目指し初鴉(はつがらす) 雑煮餅家族には家族の事情 列なして鳥居見上げて初御空 初鏡磨いて映す濁世(じょくせ)かな 本殿の裏手臘梅匂ふかな 由美子(通称:ままい) ぽっといる巨大まいまい初明り 家族双六(すごろく)二回つづけて三がでる 二拝二拍手祈り忘れて初詣 賽銭(さいせん)の行列真ん中だけ進む 琴美(通称:ねね) 元旦に姉弟(きょうだい)そろって夢みくじ 忙しく髪のびっぱなしで年をこす 年終る朝から母は窓そうじ 年をこし初めにするのが人生ゲーム 正月はこたつも神社も大混雑 筑美(通称:つう) |
選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。
直美選 ○我と猫の他は冬田のひろがりぬ 由美子 ○眠りをる家々の屋根初日受く 由美子 ○雑煮餅家族には家族の事情 由美子 ○家族双六二回つづけて三がでる 琴美 ○正月はこたつも神社も大混雑 筑美 由美子選 ◎元日の浮雲利根の川幅に 直美 ○元日の川越え鯰神詣づ 直美 ◎家族双六二回つづけて三がでる 琴美 ○二拝二拍手祈り忘れて初詣 琴美 ◎年終る朝から母は窓そうじ 筑美 ○元旦に姉弟そろって夢みくじ 筑美 ○正月はこたつも神社も大混雑 筑美 琴美選 ◎元日の浮雲利根の川幅に 直美 ○元日の川越え鯰神詣づ 直美 ◎やみくもに高きを目指し初鴉 由美子 ○眠りをる家々の屋根初日受く 由美子 ◎正月はこたつも神社も大混雑 筑美 ○元旦に姉弟そろって夢みくじ 筑美 筑美選 ◎杜の径ふんはり山茶花は真白 直美 ○元日の川越え鯰神詣づ 直美 ◎眠りをる家々の屋根初日受く 由美子 ○列なして鳥居見上げて初御空 由美子 ◎二拝二拍手祈り忘れて初詣 琴美 ○賽銭の行列真ん中だけ進む 琴美 |
選句の後は、それぞれの句について、みんなで意見交換をしました。 まずは筑美の句についての選評です。 ☆「正月は」の句は、語呂もいいし、面白くて、ちょっと川柳っぽいけど好き。「大混雑」が良かったです。「元旦に」は、今日のことをそのまま作ってあったのでとりました。(ねね) ※「夢みくじ」は、雷電神社のおみくじで、大吉が出るとくじが引けて、いろいろな賞品が当たります。ちなみに、琴美はお米を、筑美はうどんをゲットしました。 ☆つうが、この年末からのことを通してちゃんと句に詠み込んでいたのに驚いて、全体的にほうほうと思いました。ただ全部を言おうとして、川柳というか、コピーみたいになってしまったかな。(ままい) ★おとうは「正月は」をとったけれど、句として一番面白くなりそうなのは「忙しく」の句かなと思う。説明になっちゃうから、この「忙しく」がなければ良かったよね。「正月は」も「正月の」の方が良いのかな。でも「大混乱」が面白いね。(おとう) 続いて琴美の句についての選評です。 ★「二拝二拍手」の句は、つうも今日久しぶりにお参りしたから、どうしたらいいのかそっちに気をとられてて、よくお祈りしてなかったので、ああそういうように作ればいいのかって思って一番にとりました。もう一つはわかりやすいのをとったって感じかな。(つう) ☆「二拝二拍手」の句は、その様子が見てない人にもわかるかなって思ってとりました。でも、「賽銭の」の句は、これでわかるのかなって思うんだけれど。(ままい) ★それはわかると思うけど、「賽銭」が季語じゃないんだな。句としては「真ん中だけ進む」なんて面白いよね。(おとう) ☆「家族双六」の句は、手堅くまとまっていてとったんですけれど、「二回つづけて三が出る」なんてのは何か小技だなっていう感じもします。(ままい) ★おとうもこの中では「家族双六」の句が面白いと思うけど、「双六」の「六」があって、「二」「三」と来ると、算数じゃないぞって気もしちゃうかな。「ぽっといる」 も面白そうだけど。(おとう) ☆「巨大まいまい」ってのが、アンモナイトみたいのが出てきたみたいで、極端だと思う。(ままい) ★「大ででむし」くらいでいいのかな。でも、見てない人にはわからないか。あと「二拝二拍手」の句は、「祈り忘れて」だと上五と原因・結果的な関係になってしまってつまらないのかな。(おとう) ※「巨大まいまい」(「まいまい」も「ででむし」もカタツムリのことです)は、雷電神社の社殿裏の林の中に実際にいたものです。殻の直径が3〜4センチくらいありました。 更に由美子の句についての選評です。 ★「眠りをる」の句は今日の朝のことだよね。昨日は大晦日で遅くまで起きていたからどの家もまだ寝静まっていて、静かな家の屋根に朝日が当たってるのがよかったからとりました。「列なして」は今日のことでわかりやすかったから。(つう) ☆ねねは誰もとっていない「初鴉」の句をとりました。「やみくもに」っていうより「高きを目指し」が元旦ぽいなあって思って。「鴉」がどうなのかなって思ったけど、この辺りにいるのは鴉だからしょうがないかなって。「眠りをる」の句も、この「眠りをる」が元旦ぽいなって思ってとりました。(ねね) ★おとうも三つとったんだけれど、「我と猫」の句は、若干類型感があるかもしれないけど、実景が捉えられてるかなって。「眠りをる」の句もそうかな。「雑煮餅」の句は、「雑煮餅」が面白いのかな。その家によって独特の雑煮があって、でもそれを「家族の事情」て言い切ったところが面白いのかな。「まづは猫に」の句は、「まづは」がいらないよね、「初御空」だから余計に。(おとう) ☆「野良猫に」の方がいいのかな。「野良猫に」にしておこう。(ままい) ★「やみくもに」は、やっぱり「鴉」のイメージじゃないよな。(おとう) ☆本当はとっても高いところを飛んでたのよね。鴉なのにさあ、上の方にさあ、頑張って行っちゃってるからさあ、それも不安そうに。(ままい) ★横に飛んでるんならわかるんだよね。鴉はあんまり縦には飛ばないから。それなら「高きにをりて」でいいんじゃないかな。他の句では、「初鏡」の句は類型的かな。(おとう) 最後に直美の句についての選評です。 ★おとうのは難しくって、よくわかんなくて。でも「杜の径」の句は、つうは山茶花を見てはいないけど、あそこかなあって場所が検討つくからとりました。「鯰神」の句は、つうも「鯰」の句を作りたかったからかな。(つう) ※雷電神社の社務所には、それを撫でて無病息災を願う大きな鯰の置物が置いてあります。 ☆「元日の浮雲」の句の浮雲は、ねねとままいが見て騒いでたのだと思うけど、何かもっと恐ろしい感じがして、雰囲気は違うんだけど、でも「利根の川幅に」っていうのは、連想したんだろうけれど、表現が上手いなって思ってとりました。「鯰神」の句は「鯰」と「川」が合ってるかなって思ってとりました。(ねね) ☆「元日の浮雲」の句はねねと同じ感想で、これだと元日の穏やかな感じがして、あの雲の感じを表しているとは思わないんですが、利根川の雄大な感じが出ていて、句としては良いのかなと思います。「鯰神」の句は、土地にあるものっていうか、吟行会の句みたいで、非常に手堅いなっていう感じで感心してとりました。全体的に穏やかな句で、今日一日が天気が良くて、今日一日がこういう日だったよなっていうのがよくわかる俳句だったと思いました。 以上、終了は午後9時30分でした。 次の句会はいつになりますやら。お楽しみに。 |
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