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元日の晴れて東へ川渡る 髪切つて耳丸出しの四日かな 餡パンの臍押して食ふお正月 古雑誌束ねて積んで おしやべりの止まらぬままに初写真 ジョギングの人二、三人過ぎ初日 初日待ちてをれば散歩の犬吠える 朝食にバラバラ起きてくる二日 大掃除窓辺の猫はあきれ顔 琴美(通称:ねね) 大晦日一番星と向かい合う 福引きのハズレは五十円に化け 元朝の前髪真横に切ってみる 初明かり合わせた時計止めて寝る 雑煮餅伸びたる先は祖母の顔 初笑い 家族句会先送りして三が日 祖母の家いとこと二人で餅を焼く 筑美(通称:つう) 元旦の 大そうじ横目に猫は丸くなる 引越しをするようなまま年を越す ○ 直美選 ○おしやべりの止まらぬままに初写真 由美子 ○朝食にバラバラ起きてくる二日 由美子 ◎元朝の前髪真横に切ってみる 琴美 ○大晦日一番星と向かい合う 琴美 ○雑煮餅伸びたる先は祖母の顔 琴美 ○祖母の家いとこと二人で餅を焼く 筑美 ○大そうじ横目に猫は丸くなる 筑美 由美子選 ◎餡パンの臍押して食ふお正月 直美 ○元日の晴れて東へ川渡る 直美 ◎元朝の前髪真横に切ってみる 琴美 ○大晦日一番星と向かい合う 琴美 ○初明かり合わせた時計止めて寝る 琴美 ○雑煮餅伸びたる先は祖母の顔 琴美 ◎大そうじ横目に猫は丸くなる 筑美 ○引越しをするようなまま年を越す 筑美 琴美選 ◎義父のなき元朝の水太く出す 直美 ○餡パンの臍押して食ふお正月 直美 ◎おしやべりの止まらぬままに初写真 由美子 ○古雑誌束ねて積んで去年今年 由美子 ○朝食にバラバラ起きてくる二日 由美子 ◎大そうじ横目に猫は丸くなる 筑美 ○祖母の家いとこと二人で餅を焼く 筑美 筑美選 ◎髪切つて耳丸出しの四日かな 直美 ○餡パンの臍押して食ふお正月 直美 ◎朝食にバラバラ起きてくる二日 由美子 ○古雑誌束ねて積んで去年今年 由美子 ◎初笑い三歳の従妹は口達者 琴美 ○家族句会先送りして三が日 琴美 |
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※まずは、筑美の句についてです。
☆ねねは、まず「大そうじ横目に猫は丸くなる」をとりました。自分が作った俳句と似ているなと思ったけど、なんか、大掃除してるのに丸くなってる猫っていうのは想像すると面白い図かなと。猫って言ったら眼が特徴的だし、「横目に」っていうのもなかなか良い感じだなと思いました。次は「祖母の家いとこと二人で餅を焼く」をとりました。この句はすごくお正月っぽいと思って、「餅」っていうのもそうだけど、「いとこ」っていうのも、お正月にしかできない俳句かなと…、「祖母の家」っていうのもそうかもね。ちょっとお正月お正月しすぎた気もするけど、「いとこ」とか「祖母」とか、凄くほんわかして温かい空気感がでてて良いなと思いました。「引越しをするようなまま年を越す」も面白いかなと思ったんだけど、なんかとれませんでした。(ねね) ☆「大そうじ横目に猫は丸くなる」はありそうかなという気はしたんですが、コミカルなところが俳句っぽいかなってことでとらせていただきました。「引越しをするようなまま年を越す」は、我が家の今年の正月の象徴的な出来事なので、この俳句はその状況を見ていないと解るような解らないようなかなとは思ったんだけど、とらずにはいられませんでした(笑)。(ままい) ★おとうも「大そうじ横目に猫は丸くなる」をとりました。「丸くなる」って猫の様子を具体的に表現してるところが良かったかな。ねねも同じような俳句を作ってたけれど、「あきれ顔」よりは「丸くなる」の方が良いかな。「祖母の家いとこと二人で餅を焼く」は、情景がちゃんと見えてくるので良いと思います。「餅」は季語だし、それを「いとこ」と焼いていて、おばあちゃんが見ている。良い感じだなと思いました。「引越しをするようなまま年を越す」は、ままいも言ってたけど、ちょっと他の人には解りづらいし、俳句っていうよりも川柳に近いかなって感じがしたのでとりませんでした。「元旦の三才のいとこ口達者」もまあ悪くはないんだけど、さっきの「いとこ」の句と比べると、「いとこ」という言葉がきいてないかな、「みっつの子」ってだけでもいいような気がするな。(おとう) |
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※次は、琴美の句についてです。 ★つうは、「初笑い三歳の従妹は口達者」をとりました。つうの句と似てると思ったんだけど、つうの句で「元旦」だったところが、「初笑い」になっていて、百(もも)ちゃん(下のいとこの名前)が口達者で、それを皆で笑ってたから、そういわれれば「初笑い」がぴったりだったかなと思いました。「家族句会先送りして三が日」は解りやすかったからとりました。(つう) ☆「元朝の前髪真横に切ってみる」は、髪をどうこうっていう俳句は結構あるんだけど、「元朝」ってことで、一念発起するっていうわけでもないんだうけど、なにかを始めるっていう感じが出ていて、良かったかな。「大晦日一番星と向かい合う」は、ここのところことさら星がきれいで、だから別に大晦日じゃなくてもいいんだけど、そこに「大晦日」をもってきたところで、何か響くものがあったなと思いました。「初明かり合わせた時計止めて寝る」はぐうたらな句なんですけど、そこが好きです。「雑煮餅伸びたる先は祖母の顔」は、正月におばあちゃんの家に行った様子が、なんか楽しさと一緒に伝わってくるので良いかなと思ってとりました。(ままい) ★おとうも、「元朝の前髪真横に切ってみる」をとりました。「真横に」に、心機一転というような雰囲気が感じられて良いかなって思いました。「切ってみる」じゃなくて、「切る」っていうだけで良いと思うから、もう少し直すともっと良くなると思います。「大晦日一番星と向かい合う」っていうのも、悪くはないのかなってことでとりました。ただ、「大晦日」で切れないほうが良かったのかな。「の」が入ったほうがリズムも良いから、「晦日(つごもり)の」とかやったほうが良いのかな。(おとう) ☆「晦日」? 「大晦日(おおつごもり)」じゃないとだめなんじゃないの? 「晦日」だと月の終わりって意味だから、お正月の季語にならないんじゃないの?(ねね) ★本当は「大晦日」だけど、「晦日」じゃだめか。(おとう) ☆解かんない。(ままい) ☆この俳句の並びだと、「晦日」でも「大晦日」だなってわかると思うけど…。でも違うんじゃない?(ねね) ※みんなで「季寄せ」を見る ★うん、「大晦日」じゃないとだめだね。(おとう) ☆やっぱり「大晦日」で切るしかないんだ。(ねね) ★よし! じゃぁ「大年の」ではどうだ!(おとう) ☆「の」がなきゃだめ? 歯切れのいい感じにしたかったから、ぽんって切っちゃったんだけど。年の終わりにばっとみたいな。(ねね) ★それは作者に任せるよ。あとは、「雑煮餅伸びたる先は祖母の顔」もなかなかいいんじゃないかな。「は」なのかな? 「に」か「の」のほうがいいんじゃないかい? 実景だったら「伸びたる先に」かな。 ☆作ってる途中で、あ〜あって思ったんだけど、本当は雑煮餅を食べてるのを自分にしたかったんだよね。自分が雑煮餅を食べてて、餅が伸びてぱっと顔を上げたらおばあちゃんがいた、っていう風にしたかったんだよね。でも、この俳句だと、おばあちゃん自身がお餅を食べているみたいにとられてしまうかな。(ねね) ☆いや、ねね自身が食べてるってのはわかるよ。(ままい) ★でも、「は」じゃないほうが良いんじゃないかな。(おとう) ☆そっか。「に」で伝わるならそれでも良いけど。(ねね) ★「初明かり合わせた時計止めて寝る」ってのは…。(おとう) ※寝そうなつう。 ☆つう! ちゃんと聞いてなきゃだめだよ。立派な俳人になるため(?)にも勉強しないと(笑)。(ねね) ★「時計を合わせる」っていうのは「時間を合わせる」ってことだから、これだと意味が分からない。「合わせて止めるってなに?」ってなっちゃうよ。(おとう) ☆そうかなとは思ったけど、でも、普通「止めて寝る」って言ったら「目覚まし」ってなるから、わかると思う。(ねね) ★う〜ん。「合わせた」ってなると違うと思うなぁ。(おとう) ☆目覚ましを「起きる時間に合わせ」たってことだよ。(ねね) ★う〜ん…。(おとう) ☆いや、ねねも思ったんだよ、ちょっと違うかなとはさ。でも、「止めて寝る」でわかるかなと思ったんだい!(ねね) ★それから、「初明かり」だと、朝のことで、もう夜が明けてんだよね。(おとう) ☆歳時記に「最初に差してきた薄い明かり」みたいに書いてあったから、そういうつもりで使ったんだけど。(ねね) ★だから、それは夜が明けてるってことじゃん(笑)。その頃にもう一回寝たわけ?(おとう) ☆うん。でも、つまりは朝でしょ? だから、朝、前の夜にかけといた目覚ましを止めて、もう一回寝たんだよ。(ねね) ★でも、この句だと、合わせたのにその合わせたそばから止めて寝たみたいにならないかなあ。(おとう) ☆う〜ん…。(ねね) ★まぁ、おとうにはよく解らなかったってことで…。(おとう) ※このあとも暫くおとうとねねの押し問答は続きましたが、長いので省略します(苦笑)。 ★「初笑い三歳の従妹は口達者」は、つうのとほとんど同じだったからとらなかったけど、悪くはないかなと思うよ。つうのとあまりにも同じようだったからとらなかったけど。(おとう) ★だって、つうは「元旦の三才(みっつ)のいとこ口達者」をつくるときにおねいに聞いたんだもん。「いとこは」にしたほうがいいかなぁって。そしたら、何も言わなかったのに…。おねいの句にも同じようなのがはいってるからさぁ、なんだそりゃって思ったよ。(つう) ☆そうだったっけ、良く覚えてないや。ごめん。でも、ねねが考えてた俳句とほぼ同じのをつうが作ってて、しかもねねに質問してきたから驚いたよ。見ちゃったから出すの辞めようかと思ったんだけど、結構気に入ってた俳句だったんで、出しちゃいました。ごめんなさい。(ねね) ★つうの「元旦の」の俳句は、「は」がなくて正解だと思うよ。(おとう) ★凄いよな、初めの五文字以外ほとんど一緒。(つう) |
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※次は由美子の句についてです。 ★まず、「古雑誌束ねて積んで去年今年」は「去年今年」を使ってるからとりました(笑)。つうも使ってみたかったから。あと、「束ねて積んで」のとこも好き。「朝食にバラバラ起きてくる二日」っていうのは、お正月気分が抜けなくて、みんながだらだらしてる感じが出てて良かった。(つう) ☆ねねは「おしやべりの止まらぬままに初写真」を一番にとりました。なんか、「おしやべりの止まらぬ」ってところでにぎやかな感じがでてて、「初写真」のところで親戚一同というか、人数が多い感じで、楽しくて明るい感じが出てていいなと思って。「古雑誌束ねて積んで去年今年」は、ねねも「去年今年」の意味はあんまり良くわかってないんだけど、響きが好きでとりました(笑)。本当はどういう意味なの? 去年と今年をまたぐみたいな意味?(ねね) ★「去年今年」っていうのは、年の替わりゆくその辺りの雰囲気みたいなことだよ。ゆく年を振り返り、新しい年への意気込みみたいな、そんな気分的なもので、具体的な意味って言われても難しいな。(おとう) ☆「去年今年つらぬく棒のごときもの」(高浜虚子)ってやつでしょ(笑)。(まま) ☆古雑誌っていうのが過去のことで、それを束ねて捨てちゃうから、なんか未来に向かうみたいな感じで、それと「去年今年」が合ってるなと思ってさ。本当はこれを一番にしようと思ったんだけど、なんかおとうが「去年今年」について文句を言うかなって思って(笑)。(ねね) ☆予防線をはったと…。(まま) ☆その通り! え〜っと、次にとったのは「朝食にバラバラ起きてくる二日」で、大晦日と元日と気合を入れてすごしたから、二日はもうだれているみたいな、気の抜けた感じが好きでした。「ジョギングの人二、三人過ぎ初日」と「初日待ちてをれば散歩の犬吠える」は、リズムがちょっと嫌だったのでとりませんでした(笑)。(ねね) ★「おしやべりの止まらぬままに初写真」は、初写真の感じが出ているのかなといったところです。「朝食にバラバラ起きてくる二日」っていうのは素直でいいのかな。主婦目線でないと作れないからね。(おとう) ☆主婦だって…。専業主婦じゃないのにぃ(笑)。(まま) ★一番に起きてないとこの句は作れないからね。(おとう) ☆そうよ、そうよ! ままいは本当は皆に不満があるのよね(笑)。(まま) ☆いいじゃない。そのつどご飯が食べられて。(ねね) ☆なんじゃそりゃ(笑)。(まま) ★短い時間でつくったからか、全体にちょっと乱暴な句が多いかなって気がしましたけど(笑)。「古雑誌束ねて積んで去年今年」は「去年今年」が使いづらい季語で、「古雑誌束ねて積んで」だと当たり前な感じになっちゃうのかなと思うよ。「古」が逆にいらないんだろうね。(おとう) ☆そう思ったんだけど、調子もいいことだしいいやこれでみたいなね(笑)。(ままい) ★うん。だから、雑誌でも○○雑誌みたいにして、「古」をつけないほうがいいよね。(おとう) ☆去年今年にもう「古い」と「新しい」って意味が入ってるからね。(ままい) ※またしても寝そうなつう。 ☆つう! それ、起きてる?(ねね) ★うん。(つう) ★「ジョギングの人二、三人過ぎ初日」ってのは、結構曖昧な感じがするね。(おとう) ☆「ジョギングの二人三人」とかには出来なかったの? ねねは「人」に挟まれてるところがどうも気持ち悪かったんだけど。(ねね) ★それに、なんかあんまり「初日」とは合ってないような気がするんだよね。「初日待ちておれば散歩の犬吼ゆる」も、これだと作者が犬を散歩させてるみたいだね。本当はそうじゃないんだよね。(おとう) ☆本当はこれ、「初日待ちてをれば散歩の犬がワン」だったの。そっちの方がいいかしら。(まま) ☆そうしたら、「牛がモー」の方がいいよ(笑)。(ねね) ★はい。もう解るような、解んないようなでした(笑)。(おとう) |
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※最後に、直美の句についてです。 ★おとうの句は最初の二つが良くわからなかった。「元朝の水って何?」、みたいな感じでした。「髪切つて耳丸出しの四日かな」、これは解りやすかったからとりました。「餡パンの臍押して食ふお正月」も、つうが見て知ってるやつだから。でも、「正月」と「あんぱん」はあんまり関係ないかなって思いました。(つう) ☆つうから批評が出た(笑)。(ままい) ☆ねねは、「義父のなき元朝の水太く出す」をとりました。無理やり作った感があるとは思ったんだけど。(ねね) ★「元朝の水」って何?(つう) ☆この句の「水」って、水道から出てるただの水でしょ? 「元朝」は「元日の朝」ってことだよね。この句は、「おじじ(我が家では、昨夏亡くなった由美子の父をこう呼んでいる)は居なくなっちゃったけど、皆元気に強くやっているよ!」みたいなメッセージ性があるかなと思いました。正月らしい、すがすがしい、そして力強い句かなと思って。「餡パンの臍押して食ふお正月」は、つうが言ったみたいに、あんぱんとお正月が確かに微妙かなという気はしたんだけど、「餡パンの臍押して」っていうところが面白かったです。お正月以外の季語でなんかいいやつみつけたらもっと良いんじゃないかな。「元日の晴れて東へ川渡る」は、なんか前にも見たなっていうのがあってとりませんでした。「髪切つて」の句は、「耳丸出し」ってとこがおとうらしくないっていうか、ちょっと格調下げて見たけど、みたいな意図が感じられて嫌でした(笑)。今回のおとうの句は全体的になんか嫌でした(笑)。(ねね) ☆ひど〜い(笑)。句会をやるって頑張っているので、おとうはさぞかしそれなりの俳句を作ってくるのかと思いきや、ネタがなかったのかなっていう…。(ままい) ☆ままいだってひどいじゃん(笑)。(ねね) ☆そうじゃなくて、な〜んだ、こんなもんかっていう…。(ままい) ☆★やっぱりひどいじゃん。(一同) ☆そのなかでも、「餡パンの臍押して食ふお正月」は、ネタがないから今食べたものをそのまま句にしたなって感じなんだけど、それが逆に正月正月したものを題材にするより、ぼやける感じになって良かったのかなって思いました。確かに、あんぱんと正月は関係ないんだけど、その辺のアバウトさが妙に気に入りました。「元日の晴れて東へ川渡る」は、確かに我が家では正月っていうと川を渡ってどこかに行くことが多いので、見たことあるなと思ったのと、いまいち、おとうがどこに心を魅かれてこの句を作ったのかが伝わってこなかったんだけど、やっぱりその辺のアバウトさが良かったと思います。「髪切つて」の句は、聞いたことあるぞって感じで、髪を切るのと、耳が出るのはよく組み合わされることなのかなと思いました。「義父の」は確かに「頑張るぞ!」みたいなのが出ていて、無理やり感はあるけど、「現実を受け入れていかねばならん!」という力強い句で、良いのかなとは思いました。(ままい) ※以上、今回は大学入試を終えて発表を待つだけの「ねね」がテープ起こしを担当しましたので、これまでとは若干雰囲気が違うかもしれませんが、家族句会の雰囲気はよりリアルに伝わっているのかもしれません。午後9時より句作を開始、10時に始まった句会が終了したのは11時を過ぎた頃でした。それでは、またご報告させて頂きます。 |
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