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第1回の家族句会(2002年)の記録が、2003年・2004年・2006年分と一緒に出てきたのです。 そこで、今回は、その第1回家族句会の様子をご報告させていただきます。 2002年の夏は、琴美は中学2年生、筑美は小学5年生でした。旅の行程は次の通りです。 8月11日、新潟へ向かって出発。新潟市内の水族館「マリンピア日本海」に寄り、由美子の両親の実家のある関川村へ。 12日、13日は関川村に滞在。 14日、新潟港より佐渡へ渡り、16日、新潟港を経て自宅へ戻る。 以上の旅行中に実施した5回分の句会結果をご報告いたします。 [11日] トンネル十個抜けて残暑にぶち当たる マンボウの口まん丸き残暑かな 岩を跳ぶペンギン残暑はね返し 残暑 思ひ出せぬ去年の自分雲の峰 マンボウの方向転換夏休み 回遊魚じつと見てをり夏が逝く みづくらげ流されてゐる流れてゐる キラキラとかたくちいわしまは 由美子(通称:ままい) 暑さなど忘れてしまうエイの顔 琴美(通称:ねね) マンボウの暑さをかたるうごきかな 筑美(通称:つう) |
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選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎みづくらげ流されてゐる流れてゐる 由美子 ○回遊魚じつと見てをり夏が逝く 由美子 ○暑さなど忘れてしまうエイの顔 琴美 ○マンボウの暑さをかたるうごきかな 筑美 由美子選 ◎海馬吠ゆる天に暑さを残しては 直美 ○残暑てふ胸にはりつくラッコの手 直美 ◎暑さなど忘れてしまうエイの顔 琴美 ◎マンボウの暑さをかたるうごきかな 筑美 琴美選 ◎マンボウの口まん丸き残暑かな 直美 ○残暑てふ胸にはりつくラッコの手 直美 ◎マンボウの方向転換夏休み 由美子 ○キラキラとかたくちいわしまはれ右 由美子 筑美選 ◎海馬吠ゆる天に暑さを残しては 直美 ◎岩を跳ぶペンギン残暑はね返し 直美 ◎マンボウの方向転換夏休み 由美子 ○みづくらげ流されてゐる流れてゐる 由美子 |
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[12日] 祖母の指爪より細き秋暑かな 秋の雷肩尖りたる祖母とゐて 荒れ川となれば秋雲縦長に 秋扇たためば一気の雨雲 雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 祖母と手をつないでゐたり秋の雷 雷去つて誰彼となく居間にをる 水鏡乾けば暮るる母の 生温き水着を仕舞ふ更衣室 たのもしき肩の日焼けの定着す 由美子 まちわびたかじかとり夏の雨に消え 塩素のにおい鼻に残って残暑かな 夏過ぎてうきわしずかにただよって 琴美 川の中暑さをわすれるかじかとり かじかとりかじかとともに流れてる 川を見にだくりゅうすごさにぼうぜんと 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎水鏡乾けば暮るる母の実家 由美子 ○祖母と手をつないでゐたり秋の雷 由美子 ◎塩素のにおい鼻に残って残暑かな 琴美 ○まちわびたかじかとり夏の雨に消え 琴美 ◎かじかとりかじかとともに流れてる 筑美 ○川の中暑さをわすれるかじかとり 筑美 由美子選 ◎祖母の指爪より細き秋暑かな 直美 ○雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 ◎塩素のにおい鼻に残って残暑かな 琴美 ○まちわびたかじかとり夏の雨に消え 琴美 ◎かじかとりかじかとともに流れてる 筑美 ◎川の中暑さをわすれるかじかとり 筑美 琴美選 ◎雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 ○祖母の指爪より細き秋暑かな 直美 ◎祖母と手をつないでゐたり秋の雷 由美子 ○雷去つて誰彼となく居間にをる 由美子 ◎川の中暑さをわすれるかじかとり 筑美 ○かじかとりかじかとともに流れてる 筑美 筑美選 ◎雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 ○祖母の指爪より細き秋暑かな 直美 ◎雷去つて誰彼となく居間にをる 由美子 ○祖母と手をつないでゐたり秋の雷 由美子 ◎まちわびたかじかとり夏の雨に消え 琴美 ○夏過ぎてうきわしずかにただよって 琴美 [13日] 盆に入る 朝涼のハンガー二本並びをり かじか獲る 束の間の晴天秋は五日目に バンソーコだらけの 不器用に丸き石あり川涼し 歓声のごとく瀬音の湧く秋暑 バランスのとれぬシーソー秋気配 川底は静かに秋が来てゐる 緩急をつけて銀やんまの行けり 由美子 かじかとり川のにおいにむねはずみ 猿一人たたずみたたずむ残暑かな 琴美 あみどごし雨はふらぬか朝おきて 年々とかじかがみえぬ残暑かな 夏の川にごりがすごく前みえぬ 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎不器用に丸き石あり川涼し 由美子 ○川底は静かに秋が来てゐる 由美子 ○かじかとり川のにおいにむねはずみ 琴美 ◎年々とかじかがみえぬ残暑かな 筑美 ○あみどごし雨はふらぬか朝おきて 筑美 由美子選 ◎朝涼のハンガー二本並びをり 直美 ○盆に入る朝の川の濁りゐて 直美 ○かじかとり川のにおいにむねはずみ 琴美 ◎年々とかじかがみえぬ残暑かな 筑美 ○夏の川にごりがすごく前みえぬ 筑美 琴美選 ◎かじか獲る足裏の幅を広げては 直美 ○盆に入る朝の川の濁りゐて 直美 ◎川底は静かに秋が来てゐる 由美子 ○バランスのとれぬシーソー秋気配 由美子 ◎年々とかじかがみえぬ残暑かな 筑美 ○あみどごし雨はふらぬか朝おきて 筑美 筑美選 ◎かじか獲る足裏の幅を広げては 直美 ○バンソーコだらけの左手暁ヶの雷 直美 ◎不器用に丸き石あり川涼し 由美子 ○川底は静かに秋が来てゐる 由美子 ○かじかとり川のにおいにむねはずみ 琴美 [14日] 初秋の 横一線 島みえて水脈に 島 山のごときフェリー入港して新涼 つかず離れずかもめと走る秋の海 新涼の轆轤の湯呑みぐにやりとす 初秋のさざ波入日へと立てり いさぎよく線香花火高く持つ 由美子 夏休みろくろまわして過ぎていく 船の中ゆらりゆられる残暑かな 夏の海ながめて心は一人旅 山から雲にゅっとでて夏はいく 風にのるかもめ夏空うるおして 琴美 ふねにのりかもめにえさやるざんしょかな 夏の海ほのかにゆれるふねの中 夏やすみろくろのうえでおどるつち 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎初秋のさざ波入日へと立てり 由美子 ○新涼の轆轤の湯呑みぐにやりとす 由美子 ◎山から雲にゅっとでて夏はいく 琴美 ○船の中ゆらりゆられる残暑かな 琴美 ◎夏やすみろくろのうえでおどるつち 筑美 ○ふねにのりかもめにえさやるざんしょかな 筑美 由美子選 ◎島みえて水脈に秋色濃くなりぬ 直美 ○横一線遠流の島の秋雲は 直美 ◎夏休みろくろまわして過ぎていく 琴美 ○風にのるかもめ夏空うるおして 琴美 ◎ふねにのりかもめにえさやるざんしょかな 筑美 ○夏やすみろくろのうえでおどるつち 筑美 琴美選 ◎島秋風手花火の玉定まらず 直美 ○吾娘十三島のバッタをつまみ上ぐ 直美 ◎つかず離れずかもめと走る秋の海 由美子 ○いさぎよく線香花火高く持つ 由美子 ○夏の海ほのかにゆれるふねの中 筑美 ○夏やすみろくろのうえでおどるつち 筑美 筑美選 ◎島みえて水脈に秋色濃くなりぬ 直美 ○初秋の轆轤回せば日照雨来る 直美 ◎つかず離れずかもめと走る秋の海 由美子 ○新涼の轆轤の湯呑みぐにやりとす 由美子 ◎山から雲にゅっとでて夏はいく 琴美 ○夏の海ながめて心は一人旅 琴美 [15日] 島揺する暁ヶの豪雨の哀しかり 秋荒れて日蓮の島横断す 世阿弥見し海へ秋雲急ぎけり 秋驟雨順徳院の杜そこに さはやかに能面の髭はね上がる 直美 コスモスの一つが咲いて雨上がる 流罪てふ運命ついと赤とんぼ 島へ渡る一筋の道秋の風 終戦の日は土砂降りの佐渡ヶ島 バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 突然の雨降りだして残暑かな ピンヨロととんび夏の空にいて 赤ガニの横歩き暑さひきだして 焼き肉のにおいただよい秋がくる 砂浜の石のじゃりりと夏暮るる 琴美 海がわれ二つ亀への夏の道 すなはまに波がうちよせ足はずむ 波おとがほのかにきえるざんしょかな 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 ○終戦の日は土砂降りの佐渡ヶ島 由美子 ◎突然の雨降りだして残暑かな 琴美 ○砂浜の石のじゃりりと夏暮るる 琴美 ◎波おとがほのかにきえるざんしょかな 筑美 ○海がわれ二つ亀への夏の道 筑美 由美子選 ◎世阿弥見し海へ秋雲急ぎけり 直美 ○さはやかに能面の髭はね上がる 直美 ◎砂浜の石のじゃりりと夏暮るる 琴美 ○赤ガニの横歩き暑さひきだして 琴美 ◎海がわれ二つ亀への夏の道 筑美 ○波おとがほのかにきえるざんしょかな 筑美 琴美選 ◎島揺する暁ヶの豪雨の哀しかり 直美 ○秋荒れて日蓮の島横断す 直美 ◎バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 ○終戦の日は土砂降りの佐渡ヶ島 由美子 ◎海がわれ二つ亀への夏の道 筑美 ○波おとがほのかにきえるざんしょかな 筑美 筑美選 ◎島揺する暁ヶの豪雨の哀しかり 直美 ○秋荒れて日蓮の島横断す 直美 ◎バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 ○終戦の日は土砂降りの佐渡ヶ島 由美子 ◎波おとがほのかにきえるざんしょかな 筑美 ○突然の雨降りだして残暑かな 琴美 毎回、選句の後にはそれぞれの句について意見交換をしましたが、当時の記録が残っておりませんので、残念ながらその様子をお伝えすることができません。今までの家族句会の様子を参考に、ご想像いただければ幸いです。 それではまた。 |
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