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[12日] 前脚の出て八月の 文様を背負ひし蟹の横走り 観音の石段数へ切つて初秋 城跡の初秋の蔭のやはらかき 直美(通称:おとう) 送電線目で追へば湧く入道雲 山がちになりて夏雲速さ増す 歴代の藩主ずらりと秋初め 初秋のお堀の水の満々と 水鏡の 風呂上がり浴衣パリリと夜の風 夏の夜の今日はクーラー消してみる 川底の石コケはえてぬめりとす かじか見る上から見る下から見る 城壁の岩ゴツゴツと夏盛り そうめんつるる高校野球はダブルプレー 夏の夜寝顔の三つそばにあり 琴美(通称:ねね) 沢ガニをさわるとお 怒られてかじかといっしょにぶっちょうずら ひさびさの川のぬめぬめよくすべる かじか取り川の流れにさからわず ゴツゴツと岩にぶつかり泥だらけ 流されて必死につかむすべる石 浅瀬ではゴツゴツぶつかるかじか取り 筑美(通称:つう) |
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選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎水鏡の縁へとかじか頭を寄する 由美子 ○送電線目で追へば湧く入道雲 由美子 ○山がちになりて夏雲速さ増す 由美子 ◎かじか見る上から見る下から見る 琴美 ○風呂上がり浴衣パリリと夜の風 琴美 ○城壁の岩ゴツゴツと夏盛り 琴美 ○そうめんつるる高校野球はダブルプレー 琴美 ○夏の夜寝顔の三つそばにあり 琴美 ◎かじか取り川の流れにさからわず 筑美 ○沢ガニをさわるとお姉に怒られる 筑美 ○怒られてかじかといっしょにぶっちょうずら 筑美 ○浅瀬ではゴツゴツぶつかるかじか取り 筑美 由美子選 ○文様を背負ひし蟹の横走り 直美 ○城跡の初秋の蔭のやはらかき 直美 ◎そうめんつるる高校野球はダブルプレー 琴美 ○風呂上がり浴衣パリリと夜の風 琴美 ○かじか見る上から見る下から見る 琴美 ◎かじか取り川の流れにさからわず 筑美 ○怒られてかじかといっしょにぶっちょうずら 筑美 ○ゴツゴツと岩にぶつかり泥だらけ 筑美 琴美選 ◎文様を背負ひし蟹の横走り 直美 ○城跡の初秋の蔭のやはらかき 直美 ◎山がちになりて夏雲速さ増す 由美子 ○水鏡の縁へとかじか頭を寄する 由美子 ◎かじか取り川の流れにさからわず 筑美 ○怒られてかじかといっしょにぶっちょうずら 筑美 筑美選 ◎観音の石段数へ切つて初秋 直美 ○文様を背負ひし蟹の横走り 直美 ◎山がちになりて夏雲速さ増す 由美子 ○水鏡の縁へとかじか頭を寄する 由美子 ◎かじか見る上から見る下から見る 琴美 ○川底の石コケはえてぬめりとす 琴美 ○そうめんつるる高校野球はダブルプレー 琴美 [13日・朝] 秋簾半分巻いて湯の街は 膝頭に川受け止めて鰍獲る 座椅子蹴飛ばして湯街の夜の涼 直美 瀬音だけの世界赤とんぼがよぎる 列車二両編成で行く雲の峰 鬼やんま川面たたいて旋回す 行儀よく熟睡初秋の朝 道いつぱいに村営バスが通る秋 由美子 釣人の竿円を描き秋初め 川底の泡ブクブクと夏日暮 巨大かじかを今日は逃がしてやる気分 秋の夜の夢をどこかに置き忘れ ヒリヒリと夏の背中のヒリヒリと 鮎の歯のあと石についており 白昼のパラソル下から見る初秋 秋初めデータのでない道を行く 琴美 激流に押されながらも負けんとす カニ探す石ゴロゴロと秋初め ゆるやかな水面にはねる初秋かな 激流にひやりと流れる赤ナマズ コイはねる足湯につかる秋初め 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎道いつぱいに村営バスが通る秋 由美子 ○瀬音だけの世界赤とんぼがよぎる 由美子 ○列車二両編成で行く雲の峰 由美子 ◎白昼のパラソル下から見る初秋 琴美 ○川底の泡ブクブクと夏日暮 琴美 ○秋の夜の夢をどこかに置き忘れ 琴美 ○秋初めデータのでない道を行く 琴美 ◎ゆるやかな水面にはねる初秋かな 筑美 ○カニ探す石ゴロゴロと秋初め 筑美 由美子選 ◎秋簾半分巻いて湯の街は 直美 ○大鰍の頭でつかち逃がしてやる 直美 ○膝頭に川受け止めて鰍獲る 直美 ◎白昼のパラソル下から見る初秋 琴美 ○釣人の竿円を描き秋初め 琴美 ○川底の泡ブクブクと夏日暮 琴美 ◎カニ探す石ゴロゴロと秋初め 筑美 ○ゆるやかな水面にはねる初秋かな 筑美 琴美選 ◎秋簾半分巻いて湯の街は 直美 ○大鰍の頭でつかち逃がしてやる 直美 ○膝頭に川受け止めて鰍獲る 直美 ◎鬼やんま川面たたいて旋回す 由美子 ○列車二両編成で行く雲の峰 由美子 ◎激流にひやりと流れる赤ナマズ 筑美 ○カニ探す石ゴロゴロと秋初め 筑美 筑美選 ◎膝頭に川受け止めて鰍獲る 直美 ○大鰍の頭でつかち逃がしてやる 直美 ◎鬼やんま川面たたいて旋回す 由美子 ○瀬音だけの世界赤とんぼがよぎる 由美子 ◎秋初めデータのでない道を行く 琴美 ○白昼のパラソル下から見る初秋 琴美 [13日・夜] 線香の 初秋の 秋の蛾の三角形が逆立ちに 茄子の馬片尻上げて湯の街は 直美 水すつと吸うて川原の石涼し 川岸の砂乾ききる秋初め 幼な子の鼻歌風は秋色に コスモスのはじめの一輪濃く咲けり 後蹤いて墓参の道の細くなる ぼんやりと口開けてゐる夜涼かな 線香の火の勢ひよ夏が逝く 由美子 秋初めかじかは指の先にいて 初秋の遠くに花火の音がして 水面を石すべりゆく秋日暮 父のひげやや伸び出して秋初め 流木を川に流してみる初秋 新品の渡り廊下を通る秋 網かまえ今日は旅行の最終日 琴美 線香の匂ただよう秋初め 笹船を見て熱くなる秋日暮 パチャパチャと水切り石の数かぞえ 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ○川岸の砂乾ききる秋初め 由美子 ○コスモスのはじめの一輪濃く咲けり 由美子 ○後蹤いて墓参の道の細くなる 由美子 ◎流木を川に流してみる初秋 琴美 ○父のひげやや伸び出して秋初め 琴美 ○新品の渡り廊下を通る秋 琴美 ◎線香の匂ただよう秋初め 筑美 ○笹船を見て熱くなる秋日暮 筑美 由美子選 ◎茄子の馬片尻上げて湯の街は 直美 ○線香の炎は振つて消す盆の村 直美 ○秋の蛾の三角形が逆立ちに 直美 ◎父のひげやや伸び出して秋初め 琴美 ○秋初めかじかは指の先にいて 琴美 ○水面を石すべりゆく秋日暮 琴美 ◎線香の匂ただよう秋初め 筑美 ○笹船を見て熱くなる秋日暮 筑美 琴美選 ◎秋の蛾の三角形が逆立ちに 直美 ○茄子の馬片尻上げて湯の街は 直美 ◎幼な子の鼻歌風は秋色に 由美子 ○後蹤いて墓参の道の細くなる 由美子 ○線香の火の勢ひよ夏が逝く 由美子 ◎笹船を見て熱くなる秋日暮 筑美 ○線香の匂ただよう秋初め 筑美 筑美選 ◎茄子の馬片尻上げて湯の街は 直美 ○線香の炎は振つて消す盆の村 直美 ◎川岸の砂乾ききる秋初め 由美子 ○コスモスのはじめの一輪濃く咲けり 由美子 ◎流木を川に流してみ 琴美 ○初秋の遠くに花火の音がして 琴美 選句の後にはそれぞれの句についての意見交換をしましたが、当時の記録が残っておりませんので、残念ながらその様子をお伝えすることができません。今までの家族句会の様子を参考に、ご想像いただければ幸いです。 筑美は無事高校を卒業し、予定通り(?)浪人することになりました。琴美は運転免許を取得するべく只今合宿教習に出かけています。帰って来た頃に句会が出来ればいいのですが…。 それではまた。 |
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