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[11日] トンネル十個抜けて残暑にぶち当たる マンボウの口まん丸き残暑かな トド吠ゆる天に暑さを残しては 岩を跳ぶペンギン残暑はね返し 残暑てふ胸にはりつくラッコの手 直美(通称:おとう) 思ひ出せぬ去年の自分雲の峰 マンボウの方向転換夏休み 回遊魚じつと見てをり夏が逝く みづくらげ流されてゐる流れてゐる キラキラとかたくちいわしまはれ右 由美子(通称:ままい) 暑さなど忘れてしまうエイの顔 琴美(通称:ねね) マンボウの暑さをかたるうごきかな 筑美(通称:つう) 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎みづくらげ流されてゐる流れてゐる 由美子 ○回遊魚じつと見てをり夏が逝く 由美子 由美子選 ◎トド吠ゆる天に暑さを残しては 直美 ○残暑てふ胸にはりつくラッコの手 直美 ◎暑さなど忘れてしまうエイの顔 琴美 ◎マンボウの暑さをかたるうごきかな 筑美 琴美選 ◎マンボウの口まん丸き残暑かな 直美 ○残暑てふ胸にはりつくラッコの手 直美 ◎マンボウの方向転換夏休み 由美子 ○キラキラとかたくちいわしまはれ右 由美子 筑美選 ◎トド吠ゆる天に暑さを残しては 直美 ◎岩を跳ぶペンギン残暑はね返し 直美 ◎マンボウの方向転換夏休み 由美子 ○みづくらげ流されてゐる流れてゐる 由美子 [12日] 祖母の指爪より細き秋暑かな 秋の雷肩尖りたる祖母とゐて 荒れ川となれば秋雲縦長に 秋扇たためば一気の雨雲 雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 祖母と手をつないでゐたり秋の雷 雷去つて誰彼となく居間にをる 水鏡乾けば暮るる母の 生温き水着を仕舞ふ更衣室 たのもしき肩の日焼けの定着す 由美子 まちわびたかじかとり夏の雨に消え 塩素のにおい鼻に残って残暑かな 夏過ぎて浮き輪しずかに漂って 琴美 川の中暑さをわすれるかじかがお かじかとりかじかとともに流れてる 川を見にだくりゅうすごさにぼうぜんと 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎水鏡乾けば暮るる母の実家 由美子 ○祖母と手をつないでゐたり秋の雷 由美子 ◎塩素のにおい鼻に残って残暑かな 琴美 ○まちわびたかじかとり夏の雨に消え 琴美 ◎かじかとりかじかとともに流れてる 筑美 ○川の中暑さをわすれるかじかがお 筑美 由美子選 ◎祖母の指爪より細き秋暑かな 直美 ○雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 ◎塩素のにおい鼻に残って残暑かな 琴美 ○まちわびたかじかとり夏の雨に消え 琴美 ◎川の中暑さをわすれるかじかがお 筑美 ○かじかとりかじかとともに流れてる 筑美 琴美選 ◎雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 ○祖母の指爪より細き秋暑かな 直美 ◎祖母と手をつないでゐたり秋の雷 由美子 ○雷去つて誰彼となく居間にをる 由美子 ◎川の中暑さをわすれるかじかがお 筑美 ○かじかとりかじかとともに流れてる 筑美 筑美選 ◎雨来るか滅多矢鱈に虻飛んで 直美 ○祖母の指爪より細き秋暑かな 直美 ◎雷去つて誰彼となく居間にをる 由美子 ○祖母と手をつないでゐたり秋の雷 由美子 ◎まちわびたかじかとり夏の雨に消え 琴美 ○夏過ぎて浮き輪しずかに漂って 琴美 [13日] 盆に入る 朝涼のハンガー二本並びをり かじか獲る 束の間の晴天秋は五日目に 絆創膏だらけの 不器用に丸き石あり川涼し 歓声のごとく瀬音の湧く秋暑 バランスのとれぬシーソー秋気配 川底は静かに秋が来てゐる 緩急をつけて銀やんまの行けり 由美子 かじかとり川のにおいに胸はずみ 猿一人たたずみたたずむ残暑かな 琴美 朝おきて雨はふらぬかあみどごし 年々とかじかが見えぬざんしょかな 夏の川にごりがすごく前見えぬ 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎不器用に丸き石あり川涼し 由美子 ○川底は静かに秋が来てゐる 由美子 ○かじかとり川のにおいに胸はずみ 琴美 ◎年々とかじかが見えぬざんしょかな 筑美 ○朝おきて雨はふらぬかあみどごし 筑美 由美子選 ◎朝涼のハンガー二本並びをり 直美 ○盆に入る朝の川の濁りゐて 直美 ○かじかとり川のにおいに胸はずみ 琴美 ◎年々とかじかが見えぬざんしょかな 筑美 ○夏の川にごりがすごく前見えぬ 筑美 琴美選 ◎かじか獲る足裏の幅を広げては 直美 ○盆に入る朝の川の濁りゐて 直美 ◎川底は静かに秋が来てゐる 由美子 ○バランスのとれぬシーソー秋気配 由美子 ◎年々とかじかが見えぬざんしょかな 筑美 ○朝おきて雨はふらぬかあみどごし 筑美 筑美選 ◎かじか獲る足裏の幅を広げては 直美 ○絆創膏だらけの左手暁ヶの雷 直美 ◎不器用に丸き石あり川涼し 由美子 ○川底は静かに秋が来てゐる 由美子 ○かじかとり川のにおいに胸はずみ 琴美 [14日] 初秋の 横一線 島見えて 島秋風手花火の玉定まらず 吾子十三島のバッタをつまみ上ぐ 直美 山のごときフェリー入港して新涼 つかず離れずかもめと走る秋の海 新涼の轆轤の湯呑みぐにやりとす 初秋のさざ波入日へと立てり いさぎよく線香花火高く持つ 由美子 夏休みろくろ回して過ぎていく 船の中ゆらりゆられる残暑かな 夏の海ながめて心は一人旅 山から雲にゅっと出て夏はゆく 風に乗るカモメ夏空うるおして 琴美 船に乗りカモメにえさやるざんしょかな 夏の海ほのかにゆれる船の中 とうげいの夏のろくろでおどる土 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎初秋のさざ波入日へと立てり 由美子 ○新涼の轆轤の湯呑みぐにやりとす 由美子 ◎山から雲にゅっと出て夏はゆく 琴美 ○船の中ゆらりゆられる残暑かな 琴美 ◎とうげいの夏のろくろでおどる土 筑美 ○船に乗りカモメにえさやるざんしょかな 筑美 由美子選 ◎島見えて水脈に秋色濃くなりぬ 直美 ○横一線遠流の島の秋雲は 直美 ◎夏休みろくろ回して過ぎていく 琴美 ○風に乗るカモメ夏空うるおして 琴美 ◎船に乗りカモメにえさやるざんしょかな 筑美 ○とうげいの夏のろくろでおどる土 筑美 琴美選 ◎島秋風手花火の玉定まらず 直美 ○吾子十三島のバッタをつまみ上ぐ 直美 ◎つかず離れずかもめと走る秋の海 由美子 ○いさぎよく線香花火高く持つ 由美子 ◎とうげいの夏のろくろでおどる土 筑美 ○夏の海ほのかにゆれる船の中 筑美 筑美選 ◎島見えて水脈に秋色濃くなりぬ 直美 ○初秋の轆轤回せば日照雨来る 直美 ◎つかず離れずかもめと走る秋の海 由美子 ○新涼の轆轤の湯呑みぐにやりとす 由美子 ◎山から雲にゅっと出て夏はゆく 琴美 ○夏の海ながめて心は一人旅 琴美 [15日] 島揺する暁ヶの豪雨の哀しかり 秋荒れて日蓮の島横断す 世阿弥見し海へ秋雲急ぎけり 秋驟雨順徳院の杜そこに さはやかに能面の髭はね上がる 直美 コスモスの一つが咲いて雨上がる 流罪てふ運命ついと赤とんぼ 島へ渡る一筋の道秋の風 終戦の日は土砂降りの佐渡島 バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 突然の雨降り出して残暑かな ピンヨロとトンビ夏の空にいて 赤ガニの横歩き暑さ引き出して 焼肉のにおいただよい秋が来る 砂浜の石じゃりりと夏暮るる 琴美 水がわれ二つがめへの夏の道 すなはまに波がうちよせ足はずむ 波音がほのかにきえるざんしょかな 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 ○終戦の日は土砂降りの佐渡島 由美子 ◎突然の雨降り出して残暑かな 琴美 ○砂浜の石じゃりりと夏暮るる 琴美 ◎波音がほのかにきえるざんしょかな 筑美 ○水がわれ二つがめへの夏の道 筑美 由美子選 ◎世阿弥見し海へ秋雲急ぎけり 直美 ○さはやかに能面の髭はね上がる 直美 ◎砂浜の石じゃりりと夏暮るる 琴美 ○赤ガニの横歩き暑さ引き出して 琴美 ◎水がわれ二つがめへの夏の道 筑美 ○波音がほのかにきえるざんしょかな 筑美 琴美選 ◎島揺する暁ヶの豪雨の哀しかり 直美 ○秋荒れて日蓮の島横断す 直美 ◎バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 ○終戦の日は土砂降りの佐渡島 由美子 ◎波音がほのかにきえるざんしょかな 筑美 ○水がわれ二つがめへの夏の道 筑美 筑美選 ◎島揺する暁ヶの豪雨の哀しかり 直美 ○秋荒れて日蓮の島横断す 直美 ◎バンガローの灯のやんはりと終戦日 由美子 ○終戦の日は土砂降りの佐渡島 由美子 ◎砂浜の石じゃりりと夏暮るる 琴美 ○突然の雨降り出して残暑かな 琴美 選句の後にはそれぞれの句についての意見交換をしましたが、当時の記録が残っておりませんので、残念ながらその様子をお伝えすることができません。今までの家族句会の様子を参考に、ご想像いただければ幸いです。(写真はアナログのものを取り込みましたので不鮮明なことはご了承下さい。) 筑美は自宅で浪人することにし、今月から市内の図書館で勉強を始めました。琴美は無事仮免許を取得し合宿から戻って来ましたが、忙しそうで、その日の内に下宿へ戻ってしまいました。ということで、句会はお預けです。 それではまた。 |
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