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[9日] 膝頭まん丸にして鰍獲る 四人家族の旅の初めは鰍食ふ 定宿の迎へに出たる鬼やんま 直美(通称:おとう) 梨二つさつさと剥いて旅に出る 対向車のしぶき受けつつ秋の旅 水流の入り組むところ秋気配 うかつにも目覚まし止めて台風圏 今そこに鰍がゐて今ゐなくなる ひぐらしや山のてつぺん日が当たる 由美子(通称:ままい) まわれ右かじか足元すりぬけて かたむいた眼鏡は秋の空うつし 鮭だけのおにぎり九つ秋の空 琴美(通称:ねね) 秋初め視界の良くない今日このごろ 網かぶせかじか動くのジッと待つ 全身で流れにさからい夏は逝く 手づかみでカジカにいどむチャレンジャー シャワー浴び体にのこる夏のあと 筑美(通称:つう) 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎梨二つさつさと剥いて旅に出る 由美子 ○うかつにも目覚まし止めて台風圏 由美子 ○かたむいた眼鏡は秋の空うつし 琴美 ○鮭だけのおにぎり九つ秋の空 琴美 ◎全身で流れにさからい夏は逝く 筑美 ○シャワー浴び体にのこる夏のあと 筑美 由美子選 ◎膝頭まん丸にして鰍獲る 直美 ○四人家族の旅の初めは鰍食ふ 直美 ○定宿の迎へに出たる鬼やんま 直美 ◎かたむいた眼鏡は秋の空うつし 琴美 ○まわれ右かじか足元すりぬけて 琴美 ◎シャワー浴び体にのこる夏のあと 筑美 ○網かぶせかじか動くのジッと待つ 筑美 ○全身で流れにさからい夏は逝く 筑美 琴美選 ◎定宿の迎へに出たる鬼やんま 直美 ○四人家族の旅の初めは鰍食ふ 直美 ◎梨二つさつさと剥いて旅に出る 由美子 ○今そこに鰍がゐて今ゐなくなる 由美子 ◎シャワー浴び体にのこる夏のあと 筑美 ○全身で流れにさからい夏は逝く 筑美 筑美選 ◎四人家族の旅の初めは鰍食ふ 直美 ○鰍鰍鰍の顔に出会ひたり 直美 ◎梨二つさつさと剥いて旅に出る 由美子 ○今そこに鰍がゐて今ゐなくなる 由美子 ◎かたむいた眼鏡は秋の空うつし 琴美 ○まわれ右かじか足元すりぬけて 琴美 [10日] 対岸の 初秋の積めば川石すぐ崩る 髪切らな残暑の雲がどつと湧き 朝の雨すぐ止む鰍棲む里は 直美 水含むサンダル履いて秋の土手 鬼やんまに見張られてゐて土手のぼる 橋脚をひとまはりして鬼やんま 西瓜甘し茶の間に祖母の椅子ありて ひぐらしや祖母の写真と目を合はす 鰍逃げて川面きらきらするばかり 由美子 しゃっくりの止まらぬ弟秋近し 夏の雨山と雲とがつながって 夏の川流れる背中はだ円形 ほかほかのビーチサンダル生乾き 思い出せない漢字一文字秋初め 大あくび二人そろって夏は逝く 琴美 コツコツと流れせきとめ夏終る 人工の石の棲み家にカジカ顔 ジャボジャボと流れた先にヌッとカジカ 裏返し大きいカジカは死んだふり 朝食残しまだまだ未熟な秋初め 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎鰍逃げて川面きらきらするばかり 由美子 ○西瓜甘し茶の間に祖母の椅子ありて 由美子 ○ひぐらしや祖母の写真と目を合はす 由美子 ◎大あくび二人そろって夏は逝く 琴美 ○夏の雨山と雲とがつながって 琴美 ○思い出せない漢字一文字秋初め 琴美 ◎コツコツと流れせきとめ夏終る 筑美 ○ジャボジャボと流れた先にヌッとカジカ 筑美 由美子選 ◎対岸の娘に右手振つて鰍獲る 直美 ○朝の雨すぐ止む鰍棲む里は 直美 ◎夏の雨山と雲とがつながって 琴美 ○夏の川流れる背中はだ円形 琴美 ○大あくび二人そろって夏は逝く 琴美 ◎コツコツと流れせきとめ夏終る 筑美 ○ジャボジャボと流れた先にヌッとカジカ 筑美 琴美選 ◎対岸の娘に右手振つて鰍獲る 直美 ○朝の雨すぐ止む鰍棲む里は 直美 ◎ひぐらしや祖母の写真と目を合はす 由美子 ○水含むサンダル履いて秋の土手 由美子 ◎コツコツと流れせきとめ夏終る 筑美 ○ジャボジャボと流れた先にヌッとカジカ 筑美 筑美選 ◎対岸の娘に右手振つて鰍獲る 直美 ○初秋の積めば川石すぐ崩る 直美 ◎西瓜甘し茶の間に祖母の椅子ありて 由美子 ○鰍逃げて川面きらきらするばかり 由美子 ◎夏の雨山と雲とがつながって 琴美 ○しゃっくりの止まらぬ弟秋近し 琴美 [11日] 初秋の耳丸出しに髪を切る 髪切つて 白鷺の三羽がそつぽ向き暮るる 枝豆の甘きを噛んで 閉館時間過ぎて桔梗が揺れてゐる それぞれの歩幅で行けり竹の春 朝顔の葉が込み合つて今日快晴 初秋の娘と肩くつつけ合つてゆく カンナ咲くひとまづここで深呼吸 由美子 もうもうと白土舞って夏の道 炎天に白鷺三羽きらきらと 初秋の青竹少し傾いて 半分かけのソフトクリーム下から食べる のっぺりと芝生は夏の陽をうけて 大中小かなぶん灯りに集まって 琴美 祖母の里豆つまみつつ夏は逝く 夏の日に曾祖母の部屋で勉強す 祖母の里方言聞いた秋初め 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎朝顔の葉が込み合つて今日快晴 由美子 ○閉館時間過ぎて桔梗が揺れてゐる 由美子 ○カンナ咲くひとまづここで深呼吸 由美子 ◎半分かけのソフトクリーム下から食べる 琴美 ○のっぺりと芝生は夏の陽をうけて 琴美 ◎祖母の里豆つまみつつ夏は逝く 筑美 ○夏の日に曾祖母の部屋で勉強す 筑美 ○祖母の里方言聞いた秋初め 筑美 由美子選 ◎髪切つて径の真ん中行く残暑 直美 ○枝豆の甘きを噛んで義母の郷 直美 ◎半分かけのソフトクリーム下から食べる 琴美 ○のっぺりと芝生は夏の陽をうけて 琴美 ○大中小かなぶん灯りに集まって 琴美 ◎祖母の里豆つまみつつ夏は逝く 筑美 ○夏の日に曾祖母の部屋で勉強す 筑美 琴美選 ◎初秋の耳丸出しに髪を切る 直美 ○髪切つて径の真ん中行く残暑 直美 ◎閉館時間過ぎて桔梗が揺れてゐる 由美子 ○朝顔の葉が込み合つて今日快晴 由美子 ○初秋の娘と肩くつつけ合つてゆく 由美子 ◎祖母の里方言聞いた秋初め 筑美 ○祖母の里豆つまみつつ夏は逝く 筑美 筑美選 ◎髪切つて径の真ん中行く残暑 直美 ○枝豆の甘きを噛んで義母の郷 直美 ◎閉館時間過ぎて桔梗が揺れてゐる 由美子 ○朝顔の葉が込み合つて今日快晴 由美子 ◎半分かけのソフトクリーム下から食べる 琴美 ○初秋の青竹少し傾いて 琴美 [12日] 秋蝉や三重塔の空晴れて 流れつくし木仏傾ぎたる初秋 猿塚 黒揚羽ひらり向き変へ雨上がる 鯉の背に秋陽の届く寺の昼 寺縁起半分信じ秋の風 八月の顔寄せて見る 新涼の釈迦の左眼拝みたり 彫刻の視線の先の風は秋 由美子 両羽根にとんびは夏の雨受けて のっそりと塔は残暑の中にたち 弧を描いて離れていった黒アゲハ 夏は逝くピンで止まった異国の蝶 琴美 うっすらと重なる山の残暑かな 脱皮した大蜘蛛やけに堂々と 道端で朝日受けてるサルスベリ せわしなく動くゲンゴロウは残暑かな どしゃぶりの夏バテ気味な昆虫館 水面に顔出すカメの残暑かな 道の真ん中ひっそり落ちて栗のいが 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎鯉の背に秋陽の届く寺の昼 由美子 ○黒揚羽ひらり向き変へ雨上がる 由美子 ○寺縁起半分信じ秋の風 由美子 ◎両羽根にとんびは夏の雨受けて 琴美 ○のっそりと塔は残暑の中にたち 琴美 ◎うっすらと重なる山の残暑かな 筑美 ○道端で朝日受けてるサルスベリ 筑美 ○道の真ん中ひっそり落ちて栗のいが 筑美 由美子選 ◎独鈷水含む残暑を背に受け 直美 ○猿塚てふ二尺が丈の秋澄 直美 ◎夏は逝くピンで止まった異国の蝶 琴美 ○のっそりと塔は残暑の中にたち 琴美 ◎水面に顔出すカメの残暑かな 筑美 ○うっすらと重なる山の残暑かな 筑美 ○道端で朝日受けてるサルスベリ 筑美 琴美選 ◎流れつくし木仏傾ぎたる初秋 直美 ○独鈷水含む残暑を背に受け 直美 ◎黒揚羽ひらり向き変へ雨上がる 由美子 ○鯉の背に秋陽の届く寺の昼 由美子 ◎うっすらと重なる山の残暑かな 筑美 ○道の真ん中ひっそり落ちて栗のいが 筑美 筑美選 ◎流れつくし木仏傾ぎたる初秋 直美 ○独鈷水含む残暑を背に受け 直美 ◎八月の顔寄せて見る木皮経 由美子 ○彫刻の視線の先の風は秋 由美子 ◎夏は逝くピンで止まった異国の蝶 琴美 ○弧を描いて離れていった黒アゲハ 琴美 [13日] 旅果ての日焼の肩が角張つて 望遠鏡で太陽覗く盆の入り 明日は去る越の初秋 砂灼けて 踵の砂払ひて去りぬ秋の浜 茶碗二つ重ねて伏せる盆休み 大雑把に分けて盆花手向けたり 強く絞る水着特には無き望み 旅終盤となりて日焼の肩の熱 由美子 水飴最中びよんと伸びて盆休み 早歩きノースリーブは縞模様 ポニーへたりと脚をたたんで残暑かな 初秋の湯のみの中に河童いて 爪伸びて夏の旅行は最後の晩 夏の旅行は袋に菓子をためこんで 琴美 太陽の見え隠れして残暑かな 夏は逝きなぎさで崩れる砂の城 足つかず浮き輪目指して手を伸ばす 里帰り線香持たずに盆暮れる 遊歩道変った目印秋初め 宝物殿メモとる母尻目に夏は逝く 筑美 選句はそれぞれの作品から好きなものに印をつけました。結果は次の通りです。 直美選 ◎大雑把に分けて盆花手向けたり 由美子 ○踵の砂払ひて去りぬ秋の浜 由美子 ◎夏の旅行は袋に菓子をためこんで 琴美 ○水飴最中びよんと伸びて盆休み 琴美 ○爪伸びて夏の旅行は最後の晩 琴美 ◎姉弟で望遠鏡のぞいて初秋 筑美 ○太陽の見え隠れして残暑かな 筑美 ○夏は逝きなぎさで崩れる砂の城 筑美 由美子選 ◎旅果ての日焼の肩が角張つて 直美 ○望遠鏡で太陽覗く盆の入り 直美 ○砂灼けて息子の足跡を踏んでゐる 直美 ◎水飴最中びよんと伸びて盆休み 琴美 ○初秋の湯のみの中に河童いて 琴美 ○夏の旅行は袋に菓子をためこんで 琴美 ◎姉弟で望遠鏡のぞいて初秋 筑美 ○夏は逝きなぎさで崩れる砂の城 筑美 ○足つかず浮き輪目指して手を伸ばす 筑美 ○遊歩道変った目印秋初め 筑美 琴美選 ◎旅果ての日焼の肩が角張つて 直美 ○砂灼けて息子の足跡を踏んでゐる 直美 ◎踵の砂払ひて去りぬ秋の浜 由美子 ○旅終盤となりて日焼の肩の熱 由美子 ◎姉弟で望遠鏡のぞいて初秋 筑美 ○足つかず浮き輪目指して手を伸ばす 筑美 筑美選 ◎望遠鏡で太陽覗く盆の入り 直美 ○砂灼けて息子の足跡を踏んでゐる 直美 ◎踵の砂払ひて去りぬ秋の浜 由美子 ○旅終盤となりて日焼の肩の熱 由美子 ◎初秋の湯のみの中に河童いて 琴美 ○夏の旅行は袋に菓子をためこんで 琴美 選句の後にはそれぞれの句についての意見交換をしましたが、当時の記録が残っておりませんので、残念ながらその様子をお伝えすることができません。今までの家族句会の様子を参考に、ご想像いただければ幸いです。 由美子は職場が変り忙しそうです。琴美は馬術部に新人が入部してひとまず安心しています。筑美はのんびりと浪人生活を楽しんで(?)います。 そろそろ昔の記録も尽きてきましたので、次回は何とか実況をお送りしたいと思っています。 少々時間がかかるかも知れませんが、ご了承ください。それではまた。 |
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