「絆」―家族で楽しむファミリー句会 第23回

実施日 2011年5月15日 場所 自宅




 こんにちは、佐怒賀家です。あまりにも大きな被害をもたらした東日本大震災から二ヶ月、まだまだ大変な日々が続いておりますが、犠牲になられた方々のご冥福と、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 我が家はお陰様でたいした被害はありませんでしたが、それでも心落ち着かぬ日々を送っているうちに、いつしか春も過ぎてしまいました。
 この度、実に4ヶ月ぶりに句会を開くことが出来ましたので、ご報告させて頂きます。
 午後9時00分より作句開始。午後10時00分より1時間余りの句会になりました。
 こんな句が出されました。
  (よもぎ)餅千切れば(とび)の空晴るる    
  春浴衣(はだ)け坊ちゃん団子食ふ
  山頭火(のぼ)りし坂の春(たけ)
  惜春(せきしゅん)の駅階段に膝鳴らす
  (かわず)田の闇の分厚くなりにけり
  金雀枝(えにしだ)のつんつく咲きも晴れ三日
  土ふかと踏めば野薔薇の匂ひ出す          直美(通称:おとう)


  口閉ぢて箱にをさまる鯉のぼり           
  新緑の工業団地風少し
  埃かぶつて旧道沿ひの花菖蒲
  灯り消して部屋いつぱいに牡丹の香
  保護色を決め込む猫よ聖五月
  新しき道にひよろりと花水木
  万緑の中鋭角に道曲がる             由美子(通称:ままい)
 

  馬の鼻つついて春の日差し受く
  置かれたるように蒲公英(たんぽぽ)咲いて曇り空
  春眠の猫のあくびのうつりたり
  緑陰を抜けて目的地は間近か
  半そで長そで散らかっている薄暑
  新しき五月幟のはためきて             琴美(通称:ねね)


  青天の平たく咲いた白椿
  三毛猫と小かげに落ちた白椿
  夕暮れの頭寄せ合うヒヤシンス
  風に舞うあんずの花をまとう猫
  三毛猫の小走りでくる春の昼
  春の夜の大口あいたペンケース
  腕たらすおりづるらんは春休み
  春の夜とぐろを巻いた皮ベルト
  電話鳴る父は留守です春の昼
  壁につく昼は静かな雨蛙
  白シャツの腕まくったら白い腕           筑美(通称:つう)


  

 結果は次の通りです。


  直美選  ◎万緑の中鋭角に道曲がる        由美子
       ○灯り消して部屋いつぱいに牡丹の香   由美子
       ○新しき道にひよろりと花水木      由美子
       ◎緑陰を抜けて目的地は間近か       琴美
       ○馬の鼻つついて春の日差し受く      琴美
       ○置かれたるように蒲公英咲いて曇り空   琴美
       ○半そで長そで散らかっている薄暑     琴美
       ◎三毛猫の小走りでくる春の昼       筑美
       ○夕暮れの頭寄せ合うヒヤシンス      筑美
       ○風に舞うあんずの花をまとう猫      筑美
       ○春の夜の大口あいたペンケース      筑美
       ○春の夜とぐろを巻いた皮ベルト      筑美
       ○電話鳴る父は留守です春の昼       筑美
       ○壁につく昼は静かな雨蛙         筑美


  由美子選 ◎土ふかと踏めば野薔薇の匂ひ出す     直美
       ○春浴衣開け坊ちゃん団子食ふ       直美
       ○蛙田の闇の分厚くなりにけり       直美
       ○金雀枝のつんつく咲きも晴れ三日     直美
       ◎緑陰を抜けて目的地は間近か       琴美
       ○馬の鼻つついて春の日差し受く      琴美
       ○置かれたるように蒲公英咲いて曇り空   琴美
       ◎春の夜とぐろを巻いた皮ベルト      筑美
       ○風に舞うあんずの花をまとう猫      筑美
       ○春の夜の大口あいたペンケース      筑美
       ○腕たらすおりづるらんは春休み      筑美


  琴美選  ◎土ふかと踏めば野薔薇の匂ひ出す     直美
       ○蓬餅千切れば鳶の空晴るる        直美
       ○蛙田の闇の分厚くなりにけり       直美
       ◎口閉ぢて箱にをさまる鯉のぼり     由美子
       ○埃かぶつて旧道沿ひの花菖蒲      由美子
       ○保護色を決め込む猫よ聖五月      由美子
       ◎春の夜の大口あいたペンケース      筑美
       ○青天の平たく咲いた白椿         筑美


  筑美選  ◎惜春の駅階段に膝鳴らす         直美
       ○土ふかと踏めば野薔薇の匂ひ出す     直美
       ◎口閉ぢて箱にをさまる鯉のぼり     由美子
       ○灯り消して部屋いつぱいに牡丹の香   由美子
       ◎春眠の猫のあくびのうつりたり      琴美
       ○半そで長そで散らかっている薄暑     琴美

  

 選句の後は、いつものようにテープレコーダーで録音をしながら、それぞれの句について意見交換をしたのですが、とりあずは少しでも早目にということで、まずは選句結果のみご報告させていただきます。
 追って1月の句会の様子も合わせて後編としてご報告させていただきますので悪しからず…。

 被災地の方々、被災地で働く方々、くれぐれもお体に気をつけてお過ごし下さい。

 それでは、またお会いいたしましょう。



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