「絆」―家族で楽しむファミリー句会 第27回

実施日 2012年4月14日(土) 場所 自宅





 こんにちは、佐怒賀家です。
 
  大変長らくご無沙汰致しました。ほぼ1年ぶりのご報告になるでしょうか。
 もう止めてしまったのではないかと思われた方も多かったのではないかと思いますが、飯塚書店様の寛大なご配慮のもと、再びお目に掛かれる様になりました。
 浪人していました息子も何とか大学生となり一人暮らしを始めました。またそれはそれで忙しいのかも知れませんが、機会を見ては旅行をしたり、家族で集まったりしながら、これからもまた家族句会を楽しみたいと思っています。
 
 今回の久しぶりの家族句会は自宅での句会です。
 午後5時30分より作句開始。午後6時30分より1時間余りの句会になりました。
 それでは、復活した「佐怒賀家」家族句会の模様をご報告させて頂きます。
  

 連翹の濡れては吾子の饒舌に
 白椿ほたほた咲けばピザ買ひに
 一家集合窓辺にシクラメン並べ
 花散らしの雨や三毛猫爪を研ぐ
 頷いてゐるシクラメン咲いただけ         直美(通称:おとう)


 上品に小犬が歩く花の昼
 つくしんぼいつも通りの自己紹介
 そこら中土筆出てゐて早仕舞ひ
 鬼の気配して夜桜は満開に
 慰霊碑に届く一ト枝花曇
 朝の日を集め連翹静かなり
 彼方への駝鳥の視線花吹雪           由美子(通称:ままい)
 

 春陰や眼前の山羊角合わす
 風光る見知らぬ駅に立って居る
 花冷えの無理して履いたハイヒール
 とび退きつ仔牛を仔牛が見やる春
 春暑しすき一つ無いヤギの歯よ
 メエと鳴く春の羊はメエと鳴く
 春の雨ぴんく色した水たまり
 春の闇ぴんくの鼻が餌ねだる           琴美(通称:ねね)


 桜散りピンクの足跡行ったり来たり
 春の風ピンクの傘の下は雨
 春寒し準備万端のもえるゴミ
 行く春は風も流れる思川
 窓の前髪の毛もさっと春の雨           筑美(通称:つう)
 



 結果は次の通りです。


  直美選  ◎彼方への駝鳥の視線花吹雪       由美子
       ○そこら中土筆出てゐて早仕舞ひ     由美子
       ○慰霊碑に届く一ト枝花曇        由美子       
       ◎春の闇ぴんくの鼻が餌ねだる       琴美
       ○春陰や眼前の山羊角合わす        琴美
       ○風光る見知らぬ駅に立って居る      琴美
       ◎桜散りピンクの足跡行ったり来たり    筑美
       ○窓の前髪の毛もさっと春の雨       筑美


  由美子選 ◎白椿ほたほた咲けばピザ買ひに      直美
       ○一家集合窓辺にシクラメン並べ      直美
       ○花散らしの雨や三毛猫爪を研ぐ      直美
       ◎とび退きつ仔牛を仔牛が見やる春     琴美
       ○春陰や眼前の山羊角合わす        琴美
       ○メエと鳴く春の羊はメエと鳴く      琴美
       ◎行く春は風も流れる思川         筑美
       ○桜散りピンクの足跡行ったり来たり    筑美
       ○春寒し準備万端のもえるゴミ       筑美


  琴美選  ◎頷いてゐるシクラメン咲いただけ     直美
       ○連翹の濡れては吾子の饒舌に       直美
       ◎そこら中土筆出てゐて早仕舞ひ     由美子
       ○上品に小犬が歩く花の昼        由美子
       ○慰霊碑に届く一ト枝花曇        由美子
       ○桜散りピンクの足跡行ったり来たり    筑美
       ○行く春は風も流れる思川         筑美


  筑美選  ◎花散らしの雨や三毛猫爪を研ぐ      直美
       ◎朝の日を集め連翹静かなり       由美子
       ○上品に小犬が歩く花の昼        由美子
       ○慰霊碑に届く一ト枝花曇        由美子
       ◎花冷えの無理して履いたハイヒール    琴美
       ○風光る見知らぬ駅に立って居る      琴美
       ○とび退きつ仔牛を仔牛が見やる春     琴美

  

 選句の後はいつものように、それぞれの句について、みんなで意見交換をしました。

 まずは「つう」の句についての選評です。

☆ねねは、今回はつうの句には厳し目で、特選は取らず、並選を2つ取りました。どっちかっていうと「行く春は風も流れる思川」の方がいいかな。「春」も「風」も「川」もみんな前に向かって行っているようで、新しい生活を始めた(*つうは4月から下宿暮らしを始めました)フレッシュ感があっていいかなと思いました。「桜散りピンクの足跡行ったり来たり」は、「ピンクの足跡」っていうのが、たぶん桜の花びらなんだろうなと思ったんだけど、散っている様子を「行ったり来たり」って表現したところが面白いと思いました。あとは、「春の風ピンクの傘の下は雨」は「ピンクの傘」ってのが桜の木なのかなとは思ったんですが、よくわからなかった。(ねね)
★そう、桜の木のことを言ったんだけど…。(つう)
☆だとしたら、「下の雨」がやっぱりわからない。雫が垂れているのを「雨」って言ったのかもしれないけど、桜の下には雨は降らないだろうって…。(ねね)
★つうとしては、風で花びらが散っているのが雨みたいだなって思って作ったんだけど…。(つう)
☆そうかなっては思ったんだけど、これだけではわからないよね。「春寒し準備万端のもえるゴミ」は、やっぱり「もえるゴミ」っていうのが、別に汚いわけではないんだけれど、でも俳句の材料としては違うんじゃないかなって…。(ねね)
★じゃあ、「プラスチックゴミ」にしとけば良かったかな。(つう)
☆そういうことじゃなくって…(笑)。
★この句はね、前の日にゴミを出す準備はしっかりできてたんだけど、当日の朝が寒かったので出すのをどうしようかなって考えてた時の気持を出したかったんだけどね。(つう)
☆「窓の前髪の毛もさっと春の雨」は、別に可もなく不可もなくって感じでした。(ねね)
☆ままいは、「行く春は風も流れる思川」を特選に取りました。やっぱり語呂がいいというか、そのまま流れてるっていうか、読みやすいということで取りました。(ままい)
★いつもね、不本意ではあるんだけど、思い入れのない句のほうが取られるね。(つう)
☆そう、つうは思い入れが強いと詰め込みすぎて、なんだか分かんなくなっちゃうからね。(ねね)
☆だから、「桜散りピンクの足跡行ったり来たり」の方が分かりずらい。ままいは、散った花びらの上を学生でもなんでもいいんだけど、人が行ったり来たりしてるのかなって思ったんだけど、違ったみたいだよね。(ままい)
★ねねもままいも実はどっちも違うんだけどね。(つう)
☆「春の風ピンクの傘の下は雨」は、やっぱり「傘の下は雨」って何って感じでした。「春寒し準備万端のもえるゴミ」は、表現としてはどうかなって思ったんだけど、まあ一人暮らし頑張ってるねってことでご褒美ということで取りました。本当は、「ゴミ出し準備万端に」とかいうと俳句らしいんだろうけど、そうするとさっきつうが言った気持とは違っちゃうしね。でも、日常生活の中から材料を見つけることは大切なことなので、こういう句もどんどん作った方がいいと思いました。「窓の前髪の毛もさっと春の雨」は、なんだか良く分からなかったです。(ままい)
★おとうは、「桜散りピンクの足跡行ったり来たり」が特選です。これも解釈が違うのかもしれないけれど、おとうはこの「ピンクの足跡」っていうのは、それこそみんなが通った足跡で、一面のピンクの花びらの中に残った足跡だから、本当は土が見えてて黒いんだけれど、それを回りの花びらの色に目を向けて「ピンク」って表現したところが詩的だなって思ってとりました。(おとう)
★そうか、そういうふうにも読めるんだ。そういうふうに読むと「おしゃれ」って感じだね。でも、さっきも言ったけど、みんな違ってて、つうが言いたかったのは、散った花びらの一枚一枚が足跡みたいで、それがあっちこっちを向いているから「行ったり来たり」ってしたんだけどね。(つう)
★「春の風ピンクの傘の下は雨」はみんなと同じで「下は雨」がわからなかった。このままでは「ピンクの傘」を比喩表現だとするのは難しいかな。「春寒し準備万端のもえるゴミ」は、ままいの言ったように「春寒しゴミ出し準備万端に」でいいんじゃないかな。(おとう)
☆でも、それだとつうが言いたかったこととはちがっちゃうよね。やる気満々の句になっちゃう。(ねね)
★うん。でも「春寒し」だったから「準備万端のゴミ」を出さなかったっていう句のほうが、原因・結果みたいな句になっちゃって面白くはないよね。(おとう)
☆実際にはそうではなかったかもしれないけど、一人でゴミの準備も万端にしたのは事実だし、頑張ってるのも事実だから、「春寒しゴミ出し準備万端に」だって嘘というわけじゃないよね。(ままい)
★「行く春は風も流れる思川」は、まず「は」の使い方が気になった。「は」だと散文的で、「○○は○○です」って、説明的な感じになっちゃう。「の」でもいいんだろうけど、「や」で切ってもいいかも知れないね。ちょっと古めかしい句にはなっちゃうけど。それと、「も」っていう助詞もなかなか面倒で、「風も」っていうと、「川も」ってその焦点が二分されちゃうよね。これは「風の」って言った方がいいだろうし、「流れる」って言わずに、その様子を、例えば「まっすぐに」とかとするともっといいんじゃないかな。「行く春や風まっすぐに思川」なんてね。「窓の前髪の毛もさっと春の雨」は、このままではわかりずらいのかもしれないけど、素材としては面白いんじゃないかな。窓に映る自分の姿を見ている様子だよね。「もさっと」した「髪の毛」と、「春の雨」のちょっと物憂い感じも合ってるんじゃないかな。字余りでも「窓に映る」くらいにしたらどうかな。(おとう)
☆そうすると中七も字余りだから…。「髪の毛」は「髪」でもわかるから、「髪のもさっと」じゃどうかな。。(ままい)
★そうだね。「前髪もさと」なんて言ってもいいかな。とにかく、実景をしっかりと表現しようとしたところがよかったかな。(おとう)

  

続いては「ねね」の句です。

★つうは、「花冷えの無理して履いたハイヒール」が特選です。ねねはハイヒールは履かないんじゃないかと思うんだけど、この句は言っていることが良く分かるので、やっぱり分かる句がいいなあと思って取りました。でもこれはあのショート・ブーツのことなんじゃないの。(つう)
☆うん、そうなんだけど、「ショート・ブーツ」だと入んないし…(笑)。(ねね)
★「花冷えの」っていう季語もいいなと思ったんだけど、「無理して履いた」がちょっと気になりました。「風光る見知らぬ駅に立って居る」は、これはねねがつうの下宿に来た時のことでしょ。だからこれも良く分かったので…。つまりは、つうの中にあるねねの情報を詠んだ句を取ったということだね(笑)。「とび退きつ仔牛を仔牛が見やる春」も良いなと思ったんだけどとりませんでした。(つう)
☆いいと思ったんなら取ってよ(笑)。(ねね)
★それでは並選ということで…(笑)。(つう)
☆ままいは、その「とび退きつ仔牛を仔牛が見やる春」が特選です。もうちょっと表現の整理が出来るなとは思ったんですけれど、でも詠んでる題材に惹かれて取りました。どう直せばいいのか分からないんだけど、まだ上手く収まり切れてない感じがして、でも逆にその感じが面白いような気もして特選にしました。「春陰や眼前の山羊角合わす」は、奇抜さはないいんだけど、これは見た通りをしっかりと表現してていいんじゃないかな。「メエと鳴く春の羊はメエと鳴く」は、「メエと鳴く」の繰り返しが効果があるのかどうかからないいんだけど、リズムがあって楽しいなと思って取りました。(ままい)
★おとうは、特選は「春の闇ぴんくの鼻が餌ねだる」にしました。この句は具象性もあって、「ぴんくの鼻」っていうと豚の鼻を想像するんだけど、それを豚とか何とか言わないで「鼻」に焦点化したことで、かえってその動物の愛らしさとか、作者の愛情が伝わるような気がしました。「春の闇」の朧々した雰囲気も合っていると思います。「春陰や眼前の山羊角合わす」は、ままいも言ったように実景を素直に詠もうとしている姿勢が見られていいと思います。「眼前の」の表現がちょっと固い気もするけれど、これがなくてもいいのかもしれないね。(おとう)
☆ねねもそう思ったんだけど、何か入れないと足りなかったから…。(ねね)
★「風光る見知らぬ駅に立って居る」も素直だし、季語の「風光る」も効いているんじゃないかな。でも、「風光る」と「立って居る」って形が重なっているから、下五を「立って居て」とかにするといいのかな。「花冷えの無理して履いたハイヒール」は「無理して」がちょっと主観的だし、「花冷え」の季語と理屈でつながっちゃうような感じだよね。「とび退きつ仔牛を仔牛が見やる春」は面白いところを捉えてはいるんだけど、ままいも言ったようにまだこのままじゃダメかな。(おとう)
☆時間がなかったんで、今日の句はみんなまだ途中の感じなんだよね。(ねね)
★でも、良いところを見ているんだから、あとでゆっくりと推敲すればいいんだよね。「とび退きつ」の「つ」が気になったな。このままだとちょっと分かりずらい。「とび退いて」でいいんじゃないかな。(おとう)
☆でも、そうすると見てる仔牛がとび退いちゃわない。ねねが作りたかったのは、ねねに驚いてとび退いた仔牛を、別の仔牛見てる様子なんだけど…。片っ方がビビリでとび退いたってことなんだけどね。(ねね)
★え、そうなんだ。でもこの句のままでも仔牛同士がとび退いて見合ってる感じになっちゃうよね。それだと「とび退いた」にするのかな。それと、「見やる」っていうのは「見遣る」ってことで、遠くを望み見ることだから、この場合は「見てる」が正しいね。「春暑しすき一つ無いヤギの歯よ」は、面白くなりそうなんだけどな。「ヤギの歯」なら「すき」じゃなくて「すき間」かな。(おとう)
☆そう、これは色々考えたんだけど、最初は「すき間などなき」にしたんだけど…。何か、ヤギの歯がギュッとしてる感じを出したかったんだよね。(ねね)
☆「ヤギの前歯が目白押し」なんてね(笑)…。(ままい)
★「びっしり並んだヤギの歯よ」(笑)。(つう)
★面白い材料を見つけたんだから、もう少し考えてみるといいね。「メエと鳴く春の羊はメエと鳴く」は、リフレインが効いてないよう感じるし、「メエと鳴く」はちょっと平凡かな。「春の雨ぴんく色した水たまり」は…。(おとう)
☆これは小学生レベル。ほら用紙にも○小って書いてある。(ねね)
★うん、そんな感じかな。(おとう)

  

続いてはままいのです。

★つうは、「朝の日を集め連翹静かなり」を特選に取りました。連翹の黄色い色が朝日を集めた色に見えるし、朝の静けさも出ていていいと思いました。「慰霊碑に届く一ト枝花曇」は、慰霊碑と花曇の組み合わせがいいと思いました。あと、「上品に小犬が歩く花の昼」もいいなと思ったので並選に追加します。「つくしんぼ」シリーズはダメでした。「鬼の気配」は良く分かりませんでした。「駝鳥」もダメでした(笑)。(つう)
☆ねねは、最初は「上品に小犬が歩く花の昼」を特選にしてたんですが、結局は「そこら中土筆出てゐて早仕舞ひ」を特選に取りました。ちょっと慌しい感じもするんですが、かえってそれが楽しそうで、春を迎えた喜びみたいなものが伝わってきました。「上品に小犬が歩く花の昼」は、やっぱり春の喜びが感じられて好きなんだけど、実景というよりもちょっとアニメみたいな感じがして、「上品に」がいいのかどうか、ということで並選にしました。「慰霊碑に届く一ト枝花曇」は、特にここがいいというわけではないんだけど、何か魅かれるというか、雰囲気のある俳句なのかなあと思いました。「つくしんぼいつも通りの自己紹介」も取ろうかどうか迷ったんだけど、「いつも通りの」がままいの俳句にはありそうなパターンなので取りませんでした。「鬼の気配して夜桜は満開に」は、怖い感じだけで良く分かりませんでした。「朝の日を集め連翹静かなり」は、「静かなり」がちょっと平凡なのかなと思ったし、「彼方への駝鳥の視線花吹雪」は、ねねの中では「駝鳥」と「花吹雪」があまりあってないように感じました。(ねね)
★おとうは、その「彼方への駝鳥の視線花吹雪」が特選です。おとうはその「駝鳥」と「花吹雪」の取り合わせが面白いかなと思いました。ままいの話を聞いていると通勤途中に駝鳥を飼っている家があるそうなので、これは実景だし、異国の「駝鳥」と、いかにも日本らしい「花吹雪」との対比が面白いし、そうすると「彼方への視線」も分かってくるよね。「そこら中土筆出てゐて早仕舞ひ」もリズムもいいし、面白いと思いました。でも、「ゐて」がちょっと説明的に響くかなって気がして、「ゐる」でもいいんじゃないかな。「慰霊碑に届く一ト枝花曇」は、実景を素直に描写していると思うんだけど、若干「慰霊碑」と「花曇」がつき過ぎるのかな。「上品に小犬が歩く花の昼」は、「上品に」が効いているかどうかがポイントだと思います。「つくしんぼいつも通りの自己紹介」は、これだと「つくしんぼ」が自己紹介してる感じもして、作者の意図はどうなのか、やや曖昧な表現なんじゃないかな。「鬼の気配して夜桜は満開に」は、「夜桜お七」の世界で(笑)、そういう意味では平凡なのかな。「朝の日を集め連翹静かなり」は、「朝の日を集め」まではまだいいんだけど、ねねの言ったように「静かなり」が余分というか、説明的だったのかな。(おとう)

最後はおとうの句です。

★特選は「花散らしの雨や三毛猫爪を研ぐ」で、あとはありません。(つう)
★おとうはひとつだけですか。(おとう)
★でも、特選に取ったからいいでしょう(笑)。この句も、全体的にリズムは好きじゃなかったし、「三毛猫」はどうでもいいんだけど(笑)、「花散らしの雨」って言葉が面白いので取りました。「連翹の濡れては吾子の饒舌に」は「吾子」が嫌だったでしょ、「白椿ほたほた咲けばピザ買ひに」は「ほたほた」の言葉が嫌だったし、何で「ピザ」なのかなって思ったし(笑)、「一家集合窓辺にシクラメン並べ」は、リズムが好きじゃなかったでしょう、「頷いてゐるシクラメン咲いただけ」は、リズムも嫌だったし、分かんなかった。全体的にリズムが変なので、ちゃんとしろってことで…。(つう)
★失礼しました。(おとう)
☆ねねは、その「頷いてゐるシクラメン咲いただけ」を特選に取りました。ねねもリズムは好きじゃなかったんだけど、この句の場合は「咲いただけ」っていう、その投げやりな感じが出ていていいのかなって思いました。「連翹の濡れては吾子の饒舌に」は、これは他の句と違ってリズムが整っていたってのもあるんだけど、「連翹」と「饒舌」の組み合わせがねね的には合ってたというか、つうのように「吾子」は気にならなかったけど、「濡れて」とどう響きあうのかは分かりませんでした。本当は「白椿ほたほた咲けばピザ買ひに」を取りたかったんだけど、「白椿ほたほた咲けば」まではいいんだけど、「ピザ買ひに」がどうも好きになれなかった。急に日常のことに展開するのはいいんだけど、「ピザ」じゃないなって、何か食べ物じゃなくて日用品とか、そういうものの方が良かったかも。でも、本当はこの句が一番好きかもって思うので、その分残念だったかも。「一家集合窓辺にシクラメン並べ」は、「集合」と「並べ」がダブっちゃってるし、それでリズムも崩れてるので取りませんでした。「花散らしの雨や三毛猫爪を研ぐ」は、最初のリズムだけで没でした。(ねね)
☆ままいは、「白椿ほたほた咲けばピザ買ひに」が特選です。確かに「ピザ」と上句が上手く響いてないかも知れないんだけど、「ほたほた」っていう擬態語はなるほどなって思いました。ねねの言ったように下句はもっといいものがあるのかも知れませんが、今日の句の中ではこの句が一番いいと思いました。「一家集合窓辺にシクラメン並べ」は、ねねの言うとおり重複はあるんですが、これはこの通りの実景をきちんと詠んでいるので取りました。「花散らしの雨や三毛猫爪を研ぐ」も、上句と下句がそれほど響いてはいないのかなってっは思ったんですが、猫の句贔屓ということもあり、取ってしまいました。「連翹の濡れては吾子の饒舌に」は、これは上句と下句とが私の中では上手く響いてきませんでした。「頷いてゐるシクラメン咲いただけ」は、意味がよく分からないというか、曖昧で、「咲いただけ」じゃなくて、「咲いた分だけ」なんじゃないかと思ったんですが、それでいいの…。(ままい)
★そうでもいいんでけど…。まだまとまらない内に時間切れで出しちゃったってことで…。(おとう)
☆私はそう取ったんだけど、それでも「頷いてゐる」に共感できなかったので取りませんでした。(ままい)
★それなら「咲いただけシクラメン頷いてゐる」がいいんじゃないの。(つう)
☆ねねは、「咲いただけ」なのよってシクラメンが言ってる感じがいいんだけどな…。ああ、特選で取ってしまったよ。(ねね)
☆実はおとうは句は沢山用意してあったようなのですが、ここで皆が作っていたので、おとうも今頑張って作ったということで、そのことは評価できると思います。でも、いつものように満を持してでも良かったんじゃないかなって…。(ままい)
★時にはこういうこともいいんじゃないでしょうか。本日はこれにて終了です。(おとう)




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【作者略歴】 佐怒賀直美(さぬか・なおみ)
1958年(昭和33年)、茨城県古河市生まれ。埼玉県在住。
埼玉大学在学中に「橘」主宰・松本旭と出会い、妻・由美子も加わっていた学生句会で俳句を始める。
結社誌「橘」編集長。俳人協会幹事、埼玉文芸家集団委員。
「秋」主宰、正美は実兄。
句集は、第1句集『髪』(牧羊社・1986)・第2句集『眉』(東京四季出版・1998)・第3句集『髭』(本阿弥書店・2005)
第1夫婦句集『TEN』(自費出版・1995)・第2夫婦句集『TWENTY』(自費出版・2006)

【家族紹介】 妻・由美子、1961年(昭和36年)生まれ。「橘」同人。県立高校国語科教諭。俳人協会会員。
                句集『本当の顔』『空飛ぶ夢』
        長女・琴美、1988年(昭和63年)生まれ。
        長男・筑美、1991年(平成3)生まれ。。

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