火の歳時記 |
片山由美子 | ||
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【火の路】 第4回 | NO4 平成20年2月5日 | ||
さて、ゾロアスター教とはどんな宗教なのだろうか。 開祖はザラシュストラつまりゾロアスターで、ここではゾロアスターと呼ぶことにしておく。ゾロアスターがいつごろ生まれたのかは、じつは正確にはわかっていない。紀元前1300年頃とも700年頃ともいわれる。活動期が紀元前15世紀だったという説、6世紀だったという説などさまざまであるが、一応のところ紀元前1000年頃の生まれと考えるのが妥当のようである。いずれにしても、現在のイランにあたる地域にはアーリア系の別の宗教があったはずで、ゾロアスターは古代の宗教を統合し改革したと考えられている。それを紀元前7世紀から6世紀頃とする学説もある。つまり、アケメネス朝ペルシャが成立する頃か、それよりやや早い時期ということになる。 ゾロアスターの出身はスピターマといわれる一族で、アフラマズダの使者・預言者としてこの世に生まれてきたとされる。アフラマズダは宇宙の法たる神(光明神)であり、それに従う善神スプンタマンユに代表される善の勢力と、アフラマズダに背く悪神(アンラマンユ)に代表される悪神の勢力との対立によって世界は成立していると考えるのがゾロアスター教の基本概念である。そして、両者の争いの果てに最後は善が勝利して悪を滅ぼすことになっている。一言でいえば、善と悪の二元論に基づき、善の勝利と優位が確定されている世界最古の一神教であり、宇宙史的運命を主張した宗教ともいえる。 預言者であるゾロアスターの使命は、善と悪の争いである宇宙の真理を解き明かすこと。火が尊ばれるのは、光の象徴だからである。よって「拝火教」あるいは「?教」(けんきょう)といわれ、前回紹介したと永遠の火は「聖火」と呼ばれる。 ゾロアスターは、神が人間に真理を教えるために使わした救済者であり預言者であるという思想は、のちの宗教に大きな影響を及ぼした。いうまでもなく、預言者が人間に救いをもたらすという考えはユダヤ教からキリスト教に受け継がれ、初期仏教にも影響を与えている。イスラム教も預言者ムハンマド(モハメッド)に始まる宗教である。 ゾロアスター教はペルシャ帝国と一体であった。アケメネス朝(紀元前550〜331)においては歴代の王がゾロアスター教に帰依し、ササーン朝(226〜651)になると正式に国教と定められた。やがてイスラム教に一掃される時代がくるとはいえ、1000年以上もペルシャの人々に信仰された宗教だったのである。その痕跡はいまもなお多くの場所で見ることができる。先に紹介したアフラマズダの像はテオ・アンゲロプロスが監督した映画「アレクサンダー大王」の中でも重要な映像モチーフとしてちりばめられている。今回は第2回で紹介したヤズドの拝火教神殿の屋根の上のアフラマズダをお見せしよう。 |
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