NO55 平成21年2月17日 片山由美子 |
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【火の歳時記】 第19回 火渡り |
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春の宗教行事のひとつに、火渡りがある。これは主として修験道の荒行として行われるもので、燃えさかる火の上を呪文を唱えながら裸足で渡るという勇ましい行事である。火を祀る京都の愛宕神社や熊本の阿蘇神社などがよく知られているが、歳時記にはいくつかの寺院で行われるものも載っている。 三月五日に行われるのが、愛知県犬山市継鹿尾山(つがおさん)にある八葉蓮台寺寂光院の寂光院火渡り会である。寂光院は白雉五年(六五四)に創建された寺院で、厄除千手観音の修業場となっている。この日、山伏が真っ赤な燠のうえを素足で渡る。 |
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青竹にまづ火を付けぬ火渡り会 川竹千代子 火渡り会果て大粒の春の雨 平松 公代 火渡りや行者溜りに大火鉢 矢野 孝子 |
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関東で有名なのが高尾山火渡り祭で、三月の第二日曜日に高尾山の薬王院有喜寺で行われる。これは高尾山の山開きも兼ねていて、修験者一行は甲州街道を高尾山麓の不動院まで練り歩き、祈祷殿前の広場で柴灯(さいとう)護摩を焚いたあと、その浄火の上を修験者に続いて参拝者も素足で渡る。火渡りは一切の罪障の功徳があるといわれている。 スペース | |||
火渡りの阿闍梨出羽より熊野より 谷田部 栄 火渡りや梵天加持の法螺ひびく 奈良 英子 法螺鳴るや塩蹴つて火を渡り切る 石川 英子 |
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最後の句は、傍らに積み上げた塩を踏んで足を清めてから火を渡る様子を描いたものである。 |
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(c)yumiko katayama | |||
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