NO75 平成21年7月7日 片山由美子 |
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【火の歳時記】第34回 花火と音楽 |
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花火の音楽といえばまっ先に思い浮かべるのがヘンデルの「王宮の花火の音楽」である。 ヘンデルはバッハと同年の一六八五年にザクセンのハレに生まれた。オペラやカンタータ、オラトリオなどで知られるが、ハノーファーの選帝侯に仕えた宮廷音楽家であった。そのハノーファー選帝侯は、イギリスでアン女王が死去したことから一七一四年にイギリス王に迎えられ、ジョージ一世となった。それに伴い、宮廷楽長のヘンデルもイギリスへ渡った。一旦は帰国するが一七一八年に再び渡英後定住し、引き続きジョージ一世に仕えた。そして一七二七年には帰化している。したがって、イギリスではヘンデルはハンドルあるいはハンデルと呼ばれ、イギリスの作曲家だと思われている節がある。 さて、「王宮の花火の音楽」だが、これはロンドンに渡ってから作曲された祝典音楽である。十八世紀のヨーロッパでは、オーストリア王女マリア=テレジアの即位をめぐって起きたオーストリア継承戦争に多くの国が巻き込まれた。継承に異議を唱えたフランス、スペインに対し、イギリスはオーストリアと同盟を結んで対抗し、一七四〇年から八年にわたって戦争状態となったのである。ようやく条約締結に到った翌年の一七四九年、ロンドンでは戦争終結を祝う多くの行事が催され、そのひとつとして行われたのがグリーン・パークの花火大会であった。「王宮の花火の音楽」はこの日のために作曲されたもので、花火が打ち上げられる前に演奏する序曲と、合間に奏される小品によって構成されている。野外での演奏であるところから管楽器だけの大編成で、オーボエ二十四、ファゴット十二、ホルン九、トランペット九、ティンパニー三というものである。初演の際にはさらに合わせて百本もの管楽器に増強されたという。花火に負けない大音響を轟かせたことだろう。 現在のイギリスでは花火大会が最も盛んなのは大晦日と元日だという。つまり年越しの祝として挙げるものである。テムズ川の花火はロンドンのど真ん中であるだけに相当迫力がありそうだ。 とめどなく空剥がれ落つ大花火 田山康子 喝采に間髪入れず揚花火 森田真臣 |
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(c)yumiko katayama | |||
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