いしだ |
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第10回 2009/04/05 あ | |||
原句 白木蓮廃校の空独り占め なつかしい母校が廃校になり、見覚えのある大樹が残っている……こういう景は、この時期よく詠まれるようです。今は人が住んでいない庭にカンナの花が燃えるように咲いている、といった晩夏の情景も同様によく詠まれます。 これらは、選をしているときに何度も出会うことになるいわゆる類想の多い句なのですが、作者自身にとっては思い入れがあるでしょうし、また見たような内容だと思いながらも共感を覚える人も多いはずですから、句会では点が入るかもしれません。 この句が実際に母校かどうかはわかりませんが、自分が住んでいる地域の学校が廃校になるのは淋しいことです。 まずこの句で気になるのは、「独り占め」という擬人法です。作者の機知が前面に出てしまったためにこの句は俳句の格調を失っていると思います。 添削例 白木蓮に廃校の空ありにけり 原句 花冷えの混み合ふ席に着きにけり 花冷えをものともせず、大勢の人が花見をしている様子ですが、いい句だと思うのに、なにかすっきりとしないところがあります。 「混み合ふ」「着きにけり」と動詞が二つあるからでしょう。 なんとか一つにしぼってみましょう。 花冷えの席混み合つてゐたりけり これでもいいと思います。あるいは、こんないい方もあります。 添削例 花冷えの宴の席に着きにけり |
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(c)kyouko ishida | |||
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