いしだ |
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第34回 2009/10/13 あ | ||
原 句 この「蓼」とはタデ科の野草の総称ですが、季語としてはとくに美しい花穂を見せているものをいいます。 たとえば、いちばん身近な「赤まんま」は、イヌタデという種類ですが、これも「蓼の花」として詠まれることが多く、ほかに、サクラタデ、ヤナギタデ、オオケタデなどがあります。またミゾソバやママコノシリヌグイなども「蓼の花」として詠まれることもあります。 オオケタデは蓼の花としては異色ですが、ほかの蓼はみな小さく、道端や畦、川縁など、どこでもよく見かけます。足元に咲く秋の雑草として、親しいものです。 この句は、目の前で小さな子どもが転んで膝をすりむいたか、作者自身が転倒して膝をすりむいたのでしょう。もしかしたら、実際にそのような景を見たのではなく、幼い日の回想を詠んだのかもしれませんし、実景に回想を重ねたのかもしれません。 いずれにしても蓼の花からの連想として自然なもの、誰でも共感する句でしょう。その分平板かもしれません。 中七の表現がやや窮屈に感じられた点だけ推敲してみます。 添削例1 すりむいて膝に滲む血蓼の花 もう少し省略して、 添削例2 すりむいて血の滲みけり蓼の花 平板さからは少し抜け出たかもしれません。 |
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(c)kyouko ishida | ||
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