いしだ |
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第35回 2009/10/20 あ | ||
原 句 「麦の秋」が、秋といいながら初夏の季語であるように、「竹の春」は春といっても初秋の季語です。 この句は公園の木立の中にある小さな記念館を覗き、その背景に竹林がふさふさとしているのに気づいて作った一句です。 昼でもほの暗く、ぽつんと灯をともした記念館。心を惹かれる景です。 ただ、「昼を灯ともす」という表現は、俳句ではたびたび見かけるもので、既成語です。それが悪いというわけではありません。じつはこの「昼を」というところに理屈がはたらいていることが類想感を強めているのです。 「竹春」は時節をあらわす季語ではありますが、同時に景も見せます。それはまだ日のある時間の景でしょう。昼も暗いため灯をともしているわけですが、そこは読者の想像にまかせ、なにか別の事実をいえば中七の表現は省けます。 そこは土足厳禁の西洋風の民家でしたから、次のような詠み方でもいいでしょう。 添削例1 竹春や靴脱いで入る記念館 上五をもう少し考えてこのようにすると、もう少し臨場感が出るかと思われます。 添削例2 竹春の靴脱いで入る記念館 |
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(c)kyouko ishida | ||
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