感動を表現する推敲の仕方
石田郷子  いしだ


第36回 2009/10/27   


  原 句  木瓜の実のひとつ生れる秋を愛しめり

 木瓜はバラ科の落葉低木です。秋にはいびつな実をつけますが、紅色に染まるとなかなか趣があります。「生れる」は「なれる」と読みます。
 この句は、木瓜の木が実を一つだけつけた、その愛しさを言った情のある句です。木瓜の実なんて、俳句を作っていなかったら、見過ごしてしまうものかもしれません。ここにもこんなささやかな営みがあると気づき、同時に秋という季節のめぐりをも愛しみ、そこに生かされている自分を感じているはずです。
 ただ、推敲する時間が足りなかったのかかなりの字余りになっています。
秋の季語ですから「秋」を省くべきですが、この句の内容が「秋を愛しむ」ということなので残してみます。

  添削例  ひとつ生る木瓜の実秋を愛しめる

  


 水平線

(c)kyouko ishida
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