感動を表現する推敲の仕方
石田郷子  いしだ


第39回 2009/11/24   


  原 句  初冬や膝丸出しの小学生

 今年の立冬は十一月七日でした。初冬はそのまま冬の初めの頃のことですが、「はつふゆ」と読むとまだ本格的な寒さの来ない小春の雰囲気が感じられて、あたたかく響きます。
 男の子でしょうか。真冬でも半ズボンの子がたくさんいて、まさに風の子です。とても微笑ましい句です。
 私が気になったのは「膝丸出しの」という表現です。何度も読んでみるとこの句は色褪せてきます。
 もしかしたら、「丸出し」というのは報告に過ぎないのではないでしょうか。このままでも情景はちゃんと浮かぶのですが、もう少し目をとどめて何か描写した方がいいのではないでしょうか。
 出来れば作者がその場で感じとったことをもっと聞いてみたいと思いますが、ここは例としてあげておきます。

  添削例  初冬や膝かがやける小学生

  

  原 句  ひと掃けの風に溜め息落葉掻き

 掃いても掃いても落ちてきりのない落葉です。そこに風がきて、せっかく掃き寄せた落葉も飛んでしまったのでしょう。そんな情景が浮かぶ句です。
 ただ、「ひと掃け」とは「ひと掃き」なのかなと首をかしげてしまいました。
 また、この句は「溜め息」ということばで、作者の作句意図を述べてしまいました。考えようによっては率直でもあるのですが、ここは少し読者の想像の余地を残しておいた方がよいのではないでしょうか。

  添削例  ひと吹きの風の落葉を掻きにけり



 水平線

(c)kyouko ishida
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