らくだ日記       佐怒賀正美
【作品24】
2009/03/06 (第458回)

 謝肉祭と言えどもかなり冷えびえとした日もあるようだ。白い仮装のひとを零下の霧が細かく包んでいるのか。細かい霧が一つ一つ白い粒になって、仮装の人を作り上げたようにも感じられる。いやいやこの白い仮装の人は、この土地に棲みついている霧の化身であるのかも知れぬ。きっと、玲瓏なうつくしい人であるにちがいない。謝肉祭に冷えびえとした雰囲気を持ち込んだところに作者の気迫を感じる。昼間ならば、ここに薄ら日が射して神秘的な情景が現出したことであろう。少々散文的な感じは否めないが、内面と通い合うような「白い光をつむぐ」八束にふさわしい光景である。




     
 












     
   
   
   
   
     
『春風琴』平成9年作 
(C)2007 Masami Sanuka
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