「17音の小宇宙―田口麦彦の写真川柳」 第5回 2009/07/24 |
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photo by kuniko sakamoto |
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日本国憲法は第二五条第一項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。〜〜」と定めている。 いわゆる生存権である。 この人としてごく当たり前の権利が、このごろ危うくなっている気がする。 憲法改正論議以前の問題であると思っている。基本的人権の中味が空洞化して来ているように思えるからである。 ある日突然に、職を奪われ、住む場所もなくなってホームレス寸前の日々を送ることとなる。それも二十代、三十代の若者がである。 百年に一度であろうが、千年に一度であろうが、近代日本の歴史の中でも理不尽なことではなかろうか。 たしかに法律論からすれば、憲法第二五条の生存権は、「その実現に向けた国の努力義務の規定であって、現実の生存を保障するものではない」と言われるかもしれない。 しかし現実に路頭に迷う人々がこの国にいる以上、それを救う手だてをするのが政治ではないか。当り前のことだが「政治」とは「政りごとを治める」の意。 だったら早く治めていただきたいと多くの国民が思っているだろう。 日本の政治家やお役人は、1726年に出されたスウィフトの小説『ガリバー旅行記』をもう一度読み直してみたらどうだろう。 そこには「人間が健康で文化的な最低限度の生活」を送るヒントがあるのではないか。 憲法は、最後のとりでと言われる。 だったら、それを頼って来た人々にはバリケードではなく、セーフティネットを張ってあげたら良いのではないか。 それは簡単なことではないだろう。だが「だれでもよかった」のアキバの事件の再現は何としても防がねばなるまい。 |
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(c)Mugihiko Taguchi |
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