石田波郷の100句を読む


             2013/11/19


《21》

            石田郷子





  血を吐いて百舌鳥きく顔をかなしむや   波郷

 同年作。「妻に」と前書きがある。自宅療養中の句である。
  草の穂のとびきて熱き口の前
  昼出でて蛼が赤し枕上
  柿くふや遠くかなしき母の顔
  妻よわが短日の頬燃ゆるかな
 それらの句の中で、
  砂町は冬木だになし死に得んや
は、渡邊白泉が、〈砂町の波郷死なすな冬紅葉〉を新聞に発表したことに応えた句である。








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